こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
目次
特定技能外国人雇用後の各種手続き
今回は、特定技能1号外国人の雇用後に、受入企業が行わなければならない各種手続き等についてわかりやすく解説していきます。
特定技能制度は、難解かつ煩雑な制度となっているため、受入企業側の業務も多くあります。またその履行を行ると罰則もあるため注意が必要です。
下記に箇条書き形式でまとめているため、是非参考にしてみてください。
1、日本人と同様の届出
特定技能外国人を雇用する際に必要な手続きは、通常の日本人の雇用に比べて複雑で多岐にわたります。特に、初めて特定技能外国人を受け入れる企業にとっては、手続きの時期や方法、提出先などが分かりにくいことが多いです。以下に、特定技能外国人の受け入れ後に必要な手続きについて、わかりやすく順を追って解説します。
①雇用保険
期日:特定技能外国人を雇用した日(入社日)の翌月10日までに
手続場所:管轄の公共職業安定所(ハローワーク)
詳しくは→こちら
②労災保険
期日:受入後速やかに
手続場所:労働基準監督署及び公共職業安定所(ハローワーク)
③社会保険(健康保険・厚生年金保険)
特定技能外国人の雇用において、社会保険への加入は必須です。
既に雇用している日本人と同様に手続きを行ってください。
④所得税・住民税
特定技能外国人の雇用において、所得税・住民税の手続きは必須です。
既に雇用している日本人と同様に手続きを行ってください。
2、ハローワークへの届出
特定技能外国人に限らず、外国籍労働者を雇用または離職時にはハローワークへの届出が必要です。
期間:受入の日から翌月10日までに
届出先:ハローワーク
参考サイト:こちら
【補足】建設業2つのやること
建設分野で特定技能外国人を受入れた場合、この記事でのやることに加えて、必ず行わなければならないことがあります。
下記の記事で詳しく解説していますので、ご確認ください。
3、特定技能協議会への加入
特定技能外国人を雇用する際に、全業種必ず加入義務となっている協議会ですが、各業種によって加入先やが異なります。詳しくは当ブログの「職種別完全ガイド」にて解説していますので、是非、ご参考にされてください。
業種 | 解説ページ(クリックしてください) | 加入のタイミング |
---|---|---|
介護 | 介護の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
宿泊 | 宿泊の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
外食 | 外食の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
飲食料品製造業 | 飲食料品製造業の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
建設 | 建設の協議会 | 「受け入れ前」(国交省認定前) |
ビルクリーニング | ビルクリーニング分野の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
自動車整備 | 自動車整備の協議会 | 入管への在留資格申請前 |
航空 | 航空の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
造船・舶用工業 | 造船・舶用工業の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
素形材産業分野 | 素形材産業分野の協議会 | 入管への在留資格申請前 |
電気・電子情報関連 | 電気・電子情報関連の協議会 | 入管への在留資格申請前 |
農業 | 農業分野の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
漁業 | 漁業分野の協議会 | 受け入れた日から4か月以内 |
産業機械製造業 | 産業機械製造業分野の協議会 | 入管への在留資格申請前 |
4、入管への定期報告
①定期面談記録書
受入企業は、特定技能外国人の労働状況や生活状況を確認するため、特定技能外国人およびその監督する立場にある者(直接の上司または雇用先の代表者)それぞれと定期的(3ヵ月に1度)な面談を、特定技能外国人が十分にりかいすることができる言語により実施し、「定期面談記録書」を作成する必要があります。
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第5-5号)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:●1/1~3/31を「第1四半期」●4/1~6/30を「第2四半期」●7/1~9/30を「第3四半期」●10/1~12/31を「第4四半期」とし、翌四半期の初日から14日以内
添付書類:なし
記入者:企業担当者
提出者:事業主
捕捉:支援実施状況に係る届出書とともに提出
②受入状況に係る届出書
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第3-6号)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:●1/1~3/31を「第1四半期」●4/1~6/30を「第2四半期」●7/1~9/30を「第3四半期」●10/1~12/31を「第4四半期」とし、翌四半期の初日から14日以内
添付書類:なし
記入者:企業担当者
提出者:事業主
捕捉:支援実施状況に係る届出書・活動実施状況に係る届出書とともに提出
③支援実施状況に係る届出書
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第3-6号)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:●1/1~3/31を「第1四半期」●4/1~6/30を「第2四半期」●7/1~9/30を「第3四半期」●10/1~12/31を「第4四半期」とし、翌四半期の初日から14日以内
添付書類:1号特定技能外国人が複数名いる場合には「対象者名簿」(参考様式第3-7)を添付。
記入者:企業担当者
提出者:事業主
捕捉:支援実施状況に係る届出書・活動実施状況に係る届出書とともに提出。
※支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は本届出は不要。
④活動状況に係る届出
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第3-6号)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:●1/1~3/31を「第1四半期」●4/1~6/30を「第2四半期」●7/1~9/30を「第3四半期」●10/1~12/31を「第4四半期」とし、翌四半期の初日から14日以内
添付書類
報酬支払状況を記載した書類(賃金台帳・給与の振込明細・比較対象となる日本人労働者の賃金台帳)
記入者:企業担当者
提出者:事業主
捕捉:支援実施状況に係る届出書・活動実施状況に係る届出書とともに提出。
▶▶捕捉事項
①該当者がいない場合は「0人」と記載する
②非自発的離職者を発生させている場合→労基法107条に規定する労働者名簿の写しを添付
③特定技能外国人に係る社会保険・雇用保険の手続きを行っていない場合は「理由書」を添付
④特定技能外国人から特別徴収した税を納付していない場合は「理由書」を添付
⑤労働基準監督官から是正勧告を受けた場合、本届出書に記載する
⑤報酬支払明細書
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第5-7号)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:活動状況に係る届出書
添付書類:特定技能外国人の給与明細の写し
記入者:企業担当者
提出者:事業主
5、入管への随時の届出
随時とは「何らかの変更があったとき」ということです。
- 雇用契約の内容変更
- 雇用契約の終了
- 支援計画の変更
- 登録支援機関との支援委託契約の内容変更
- 特定技能外国人の受入れが困難になった時
入手先:法務省ホームページ→こちら
様 式:(参考様式第3-1号から第5-11)
提出先:受入企業を管轄する地方出入国在留管理局
提出期間:事由発生かっら14日以内
記入者:企業担当者
提出者:事業主
6、在留期間更新許可申請
特定技能に限らず他の在留資格でも必ず行わなければならないのが「更新許可申請」です。わかりやすくいうと、自動車免許の更新のようなもので、違反も事故もなければすんなり更新ができると同様に、特定技能外国人においても何ら問題がなければ更新が許可されます。
申請先:居住地を管轄する地方出入国在留管理官署
更新時期:特定技能は1年ごとに更新が必要。在留期限の3か月前から申請が可能
申請者:特定技能外国人本人(申請取次の届出を行った者で例えば申請取次行政書士などが取次可)
7、その他
保管しておく書類
特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関や特定技能所属機関から受託して支援業務を行う登録支援機関は、法令に基づき、在留資格「特定技能」に係る文書の管理簿を作成し、保管する義務があります。
1.特定技能外国人の基本情報
(必要的な記載事項)
・氏名
・国籍、地域
・生年月日、性別
・在留資格、在留期間、在留期間の満了日
・在留カード番号
・外国人雇用状況届出の届出日
②特定技能外国人の活動状況に関する帳簿
(必要的な記載事項)
・活動(就労)場所(派遣形態の場合、派遣先の氏名または名称、住所)
・従事した業務の内容
・雇用状況(在籍者、新規雇用者、自発的離職者、非自発的離職者、行方不明者)に関する内容
・労働保険(雇用保険、労災保険)の適用状況
・社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入状況
・安全衛生(労働災害、健康診断を含む。)の確保状況
・特定技能外国人の受入れに要した費用の額、内訳
・特定技能外国人の支援に要した費用の額、内訳
・休暇の取得状況(一時帰国休暇の取得状況を含む。)
・行政機関からの指導または処分に関する内容
③特定技能外国人の賃金台帳
(賃金台帳の記載事項)
・氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数
・基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
・労使協定により賃金の一部を控除した場合はその金額
④特定技能外国人の出勤状況に関する書類
出勤簿やタイムカードなど
⑤他の法令で作成が義務付けられているもの
口座振込同意書、賃金控除協定、36協定、変形労働時間協定文書など
⑥その他、保管しておく書類
作者者:事業主
保管期間:特定技能雇用契約の終了の日から1年以上。
まとめ
この記事では、特定技能外国人の受入れに関連する必要な手続きについて詳しく解説しました。
受入れ企業が多くの届出義務を負う背景には、過去の技能実習制度における様々な問題点が影響しています。技能実習生の失踪、ハラスメント問題、不当な金銭徴収などの問題が続出していたため、これらを改善する目的で特定技能制度が設計されました。
このブログは、特定技能を専門とする行政書士が運営しており、特定技能外国人の受入れを検討している企業に向けて有益な情報を提供しています。引き続き他の記事もチェックして、さらに詳しい情報を得ることをお勧めします。特定技能外国人の適切な管理とサポートには、法的な義務の理解だけでなく、実践的なアプローチも必要です。これにより、外国人労働者と企業双方にとって有益な関係を築くことができます。