【補足】特定技能(建設業)の特徴と注意点

【補足】特定技能(建設業)の特徴と注意点

2022年6月17日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

この記事では、建設業事業者が特定技能外国心を雇用する方法について解説していきます。

なお、建設業に限っては

建設特定技能受入計画の認定(国交省)

特定技能の在留資格取得

という、2段階で許可を得なければならないのが特徴です。
この記事では「建設分野」の基本概要をお伝えしますが、下記ページにて建設特定技能受入計画の認定(国交省)について詳しく解説していますので、是非、ご参考にされてください。

建設特定技能受入計画イメージ画像

1、主となる業務

特定技能で外国人を雇用する場合、従事させる仕事内容が明確に決まっています。これを業務区分といいます。
現在のところ下記の表の業務のみが対象となっています。

※全業務区分共通:指導者の指示・監督を受けながら・・・

業務区分                業務内容
型 枠 施 工 コンクリートを打ち込む型枠の製作,加工,組立て又は解体の作業
左官墨出し作業,各種下地に応じた塗り作業(セメントモルタル,石膏プラスター,既調合モルタル,漆喰等)
コンクリート圧送    コンクリート等をコンクリートポンプを用いて構造物の所定の型枠内等に圧送・配分する作業
トンネル推進工地下等を掘削し管きょを構築する作業
建設機械施工建設機械を運転・操作し,押土・整地,積込み,掘削,締固め等の作業
土工下葺き材の施工や瓦等の材料を用いて屋根をふく作業
電気通信通信機器の設置,通信ケーブルの敷設等の電気通信工事の作業
鉄筋施工鉄筋加工・組立ての作業に従事。
鉄筋継手鉄筋の溶接継手,圧接継手の作業
内装仕上げプラスチック系床仕上げ工事,カーペット系床仕上げ工事,鋼製下地工事,ボード仕上げ工事,カーテン工事の作業
表装壁紙下地の調整,壁紙の張付け等の作業
とび仮設の建築物,掘削,土止め及び地業,躯体工事の組立て又は解体等の作業
建築大工建築物の躯体,部品,部材等の製作,組立て,取り付け等の作業
配管配管加工・組立て等の作業
建築板金建築物の内装(内壁,天井等),外装(外壁,屋根,雨どい等)に係る金属製内外装材の加工・取り付け又はダクトの製作・取り付け等の作業
保温保冷冷暖房設備,冷凍冷蔵設備,動力設備又は燃料工業・化学工業等の各種設備の保温保冷工事作業
吹付ウレタン断熱吹付ウレタン断熱工事等作業及び関連工事作業
海洋土木工水際線域,水上で行うしゅんせつ及び構造物の製作・築造等の作業

~注意①~
例えば、土工の仕事をさせていて、新たに「とび」の業務をさせることになった場合には、その特定技能外国人は

とびの技能試験に合格

してからでなければその業務を行うことはできません。

~注意②~
※労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等が必要とされている業務について,雇用する企業は,日本人従業員と同じようにその特定技能外国人に対しても当該教育又は講習等を修了させる必要があります。

2、従事させてよい関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務

例えば、作業器具の点検や保守に関する業務、建設資材の運搬作業、業務前後の行程作業、清掃作業など。

※専ら関連業務に従事することは認められません。

3、雇用する企業側の条件

特定技能外国人を建設分野で雇用する場合、まずは

建設特定技能受入計画の認定(国交省)

の基準をクリアしなければなりません。

「基本要件」

  • 建設業許可事業者であること
  • 建設キャリアアップシステムに事業者登録されていること
  • 一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)に加入していること
  • 特定技能外国人となる者が対象の技能試験に合格していること

このようなことが基本的な要件となります。
なお、建設特定技能受入計画の認定(国交省)については、下記の記事にて詳しく解説しています。
是非、ご参考にされてみてください。

建設特定技能受入計画イメージ画像

3、雇用形態

フルタイムでの直接雇用のみ認められます。
(フルタイム)
・労働日数が週5日以上
・年間217日以上
・週労働時間が30時間以上

※アルバイトやパート、または派遣形態での雇用は認められません。

4、合格が必要な試験

①技能試験

建設分野特定技能1号評価試験(※業務区分ごとに合格が必要な技能試験が違います)
試験実施団体:一般社団法人 建設技能人材機構→こちら

②日本語試験

「日本語能力試験(JLPT)※N4以上」

もしくは

「国際交流基金日本語基礎テスト」

5、技能実習から移行の場合

技能実習から特定技能へ移行において、特定技能の業務区分がある場合には

基本的にはスライド式で移行できます。

ただし、従事させる仕事が異なる、あるいは他の業務も追加する場合には、それぞれの試験を合格させる必要があります。

特定技能の業務区分技能実習2号の職種技能実習2号の作業
型 枠 施 工 型 枠 施 工型 枠 施 工
左官左官左官
コンクリート圧送    コンクリート圧送 コンクリート圧送 
トンネル推進工該当なし該当なし
建設機械施工建設機械施工押土・整地・積込み
土工該当なし該当なし
屋根ふきかわらぶきかわらぶき
電気通信該当なし該当なし
鉄筋施工鉄筋施工鉄筋組立て
鉄筋継手該当なし該当なし
内装仕上げ内装仕上げ施工プラスチック系床仕上げ工事
カーペット系床仕上げ工事
鋼製下地工事
ボード仕上げ工事
カーテン工事
表装内装仕上げ施工プラスチック系床仕上げ工事
カーペット系床仕上げ工事
鋼製下地工事
ボード仕上げ工事
カーテン工事
とびとびとび
建築大工建築大工大工工事
配管配管建築配管
プラント配管
建築板金建築板金ダクト板金
内外装板金
保温保冷熱絶縁施工保温保冷工事
吹付ウレタン断熱該当なし該当なし
海洋土木工該当なし該当なし

6、協議会

初めて特定技能外国人を雇用する場合、「受け入れ前」(国交省認定前)に特定技能外国人受入事業実施法人への加入が必要です。

「問い合わせ先」
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課
電話番号 :03-6453-0220
加入方法 :詳しくは→こちら
加入費用 :賛助会員は24万円(2022年4月現在)

まとめ

前述したように、建設業で特定技能外国人を雇用する場合

①建設特定技能受入計画の認定

で認定をもらってから

②特定技能の在留資格の申請

という2段階になっています。

ちなみに、弊所は建設キャリアアップシステムの認定登録窓口業務を行っており、日々、建設事業者の方から

外国人を雇用したい!

というご相談を受けていることから、建設特定技能受入計画の認定について下記の記事にて詳しく解説していますので、是非、ご参考にされてみてください。

建設特定技能受入計画イメージ画像