特定技能1号の申請:日本への呼寄せの場合

特定技能1号の申請:日本への呼寄せの場合

2022年7月4日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

さて、この記事では、外国から外国人を呼寄せて「特定技能」の在留資格取得のためにする出入国管理局への申請から在留カードの受け取りまでを

いつ
・どこへ
・誰が
・どのような書類を
・何をするのか?

といったことを、順を追ってわかりやすく解説しています。
特定技能受入機関の担当者の方などは、是非、ご参考にしてみてください。

1、申請の準備と時期

採用が決定した特定技能外国人を日本に呼び寄せる際、最も苦労するのは「現地との書類のやり取り」です。国際郵便の使用自体は1度経験すれば難しくはありませんが、申請書に署名漏れがあると、高額の送料で何度もやり取りを行う事態に陥ります。

書類に外国人の署名を得る場合は、郵送前に念入りに確認することをお勧めします。実際、私自身も署名漏れにより高額な送料を負担する経験をしています。

外国から特定技能外国人を呼び寄せる場合、必要な書類は「在留資格認定証明書」です。この書類には有効期限が設けられており、通常は発行から3ヶ月間有効です。

在留資格認定証明書の交付申請における標準処理期間は1ヶ月から3ヶ月です。申請の流れは次の通りです:

  1. 在留資格認定証明書交付申請を行う
  2. 許可されれば、在留資格認定証明書が発行される
  3. 在留資格認定証明書の発行から3ヶ月以内に日本へ入国し、就労を開始する

雇用開始日の約6ヶ月前に申請を行うのが理想です。面接から採用決定、必要書類の準備、郵送でのやり取りを含め、動き出すのは1年前から始めると余裕を持って準備ができるでしょう。

2、申請先

最寄りの出入国在留管理局への申請になります。
(最寄りとは)
就労予定の会社の所在地を管轄する地方出入国在留管理局のことです。
なお、在留資格の申請先である「入管」は、地方出入国在留管理局が全国に8箇所(札幌入管・仙台入管・東京入管・名古屋入管・大阪入管・広島入管・高松入管・福岡入管)ありますが、支局や出張所などもあるため、最寄りの申請窓口を利用されるとよいでしょう。
「参考情報」
このような申請はオンラインでも可能です。ただ、初めて受入れる企業の場合は、書類の不備などが考えられるため、せめて1回目の申請は直接窓口へ行くことをおすすめします。

3、申請者

在留資格(ビザ)は、どの申請も基本的には本人がすることとなっています。
しかしながら、いろんな諸事情で代わりの者の申請が認められています。ただ、代わりの方が申請する際には条件があり、「申請取次者」という届出をしている方となります。
特定技能外国人の申請をする申請等取次者には弁護士・行政書士や登録支援機関・受け入れ企業の職員がなることがでるとされており、基本的には申請等取次者になるには入管協会という機関が不定期で開催している、申請等取次研修会に参加する必要があります。

ちなみに、私達のような行政書士はこの届出を行っているので、毎回「届出済証明証」を入管窓口へ提示して申請を行っています。

申請取次届出証

私達のような申請取次ができる行政書士に依頼すれば簡単ではありますが、もし自社で本人に代わり申請をする場合には、代表者の方か担当者の方がその役割を担うこととなるでしょう。

4、特定技能の申請で必要となる書類

現在、日本に在留している外国人を特定技能に変更する場合と、外国から呼び寄せて特定技能外国人として雇用する場合では、準備する書類が異なります。

申請人(特定技能外国人):必要な書類

①提出書類一覧表(申請人用)
・提出の要否→〇
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら

②在留資格認定証明書交付申請書(申請人用)
・提出の要否→〇
・備考:※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明な申請人の写真(縦4cm×横3cm)を貼付。写真の裏面に申請人の氏名を記載
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら

③特定技能外国人の報酬に関する説明書
・提出の要否→〇
・備考:
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら

④特定技能雇用契約書の写し
・提出の要否→〇
・備考:※申請人が十分に理解できる言語での記載も必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら

⑤)雇用条件書の写し
・提出の要否→〇
・備考:※申請人が十分に理解できる言語での記載も必要
(注)1年単位の変形労働時間制を採用している場合は次のものも添付・申請人が十分に理解できる言語が併記された年間カレンダーの写し・1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写し
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-6号

⑥賃金の支払
・提出の要否→〇
・備考:※申請人が十分に理解できる言語での記載も必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-6号別紙

⑦雇用の経緯に係る説明書
・提出の要否→〇
・備考:※雇用契約の成立をあっせんする者がない場合でも提出が必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-16号

⑧徴収費用の説明書
・提出の要否→〇
・備考:※申請人から家賃を徴収する場合には、関係資料の提出が必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-9号

⑨健康診断個人票
・提出の要否→〇
・備考:※病院発行の様式でも差し支えないが、受診項目は参考様式に記載のものが含まれていることが必要※外国語で作成されている場合は、日本語訳を添付
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-9号

⑩受診者の申告書
・提出の要否→〇
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-3号別紙

⑪1号特定技能外国人支援計画書
・提出の要否→〇
・備考:※申請人が十分に理解できる言語での記載も必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-17号

⑫登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
・提出の要否→△
・備考:支援計画の実施の全部を登録支援機関に委託する場合に限り提出が必要
・ダウンロード先:出入国在留管理庁→こちら
・ダウンロード様式:参考様式第1-25号

⑬二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類
・提出の要否→△
・備考:カンボジア、タイ、ベトナムからの受入れ時(令和4年3月現在)

⑭特定技能試験の合格証
・提出の要否→〇

⑮日本語能力検定の合格証
・提出の要否→〇
・介護の場合「介護日本語試験」の合格証も必要

受入機関:必要書類

特定技能外国人の受入れ機関として、その会社の形態によって要否がことなるため、ここでは基本的な書類を記載しておきます。なお、詳しくは法務省のページにてご確認ください。→こちら

番号必要書類留意事項
給与規定(賃金規定)※定めている場合のみ。
役員の住民票の写し※マイナンバーの記載がないもの。
※本籍地の記載があるもの。
※特定技能外国人の受入れに関する業務の執行に直接的に関与しな
い役員に関しては、住民票の写しに代えて誓約書の提出でも可。
特定技能所属機関の役員に関する誓約書住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合に必要
決算文書の写し(損益計算表及び貸借対照表)(直近3年分)※直近期末において債務超過がある場合には「中小企業診断士,公認会計士等」が発行する「改善の見通しについて評価を行った書
面」の提出が必要。
労働保険料等納付証明書(未納なし証明)※初めての受入れの場合に必要
※専用書式があり労働局で取得。
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し※受入れ中で労働保険事務組合に事務委託していない場合に必要
※直近2年分が必要。
※口座振替結果通知ハガキを紛失した場合は、労働局発行の「労働保険料等口座振替結果のお知らせ」でも可。
労働保険事務組合が発行した直近2年分の
労働保険料等納入通知書の写し及び通知書
に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガ
キ)の写し
※受入れ中で労働保険事務組合に事務委託している場合に必要
※直近2年分が必要。
※口座振替結果通知ハガキを紛失した場合は、労働局発行の「労働保険料等口座振替結果のお知らせ」でも可。
社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し※申請する月の前々月までの24か月分が必要。
税目を「源泉所得税及び復興特別所得税,法人税,消費税及び地方消費税」とする納税証明書※市町村発行の納税証明書。
※「初めての受入れの場合」は直近1年度分が必要。
※「受入れ中の場合」は直近2年度分が必要。
登記事項証明書※法務局にて取得可。

詳しくは法務省のページをご覧ください→こちら

業務ごとに用意する書類

航空・農業・飲食料品製造業

必要書類備考
各分野ごとの誓約書専用書式あり
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。

介護

必要書類備考
介護分野の誓約書専用書式あり
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。
業務を行わせる事業所の概要書専用書式あり

ビルクリーニング

必要書類備考
ビルクリーニング分野の誓約書専用書式あり
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。
・建築物清掃業登録証明書
・建築物環境衛生総合管理業登録証明書
どちらか1点

素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業

必要書類備考
各分野ごとの誓約書専用書式あり
協議会の構成員であることの証明書初回受入でも申請前に加入し証明証を取得しておく

建設

必要書類備考
建設分野の誓約書専用書式あり
建設特定技能受入計画の認定証の写し入管申請前に国土交通省地方整備局で認定を受け認定書を取得しておく

造船・舶用工業

必要書類備考
造船・舶用工業の誓約書専用書式あり
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。
造船・舶用工業事業者の確認通知書※初めて造船・舶用工業分野で受け入れる場合には、申請前の国土
交通省の手続が必要。

自動車整備

必要書類備考
自動車整備分野の誓約書専用書式あり
協議会の構成員となることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。
協議会の構成員であることの証明書初回の受入れの場合に必要。

宿泊

必要書類備考
宿泊分野の誓約書専用書式あり
旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)の写し
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。

外食

必要書類備考
外食分野の誓約書専用書式あり
保健所⾧の営業許可証又は届出書の写し
協議会の構成員であることの証明書1人目の受入れから4か月以上経過している場合に必要。

5、その他

①外国人が署名する書類

  1. 雇用契約書
  2. 雇用条件書
  3. 在留資格認定証明書交付申請
  4. 雇用の経緯に係る説明書
  5. 受診者の申告書
  6. 1号特定技能外国人支援計画書
  7. 事前ガイダンスの確認書

※上記の書類は、国際郵便にて現地へ送り、申請人(特定技能外国人)に直接署名してもらい、送り返してもらう必要があります。

②出入国在留管理局へ

各地の出入国在留管理局については本記事で既に解説していますので、ここでは混雑状況に焦点を当てて解説します。
出入国在留管理局によって異なりますが、現在の混雑状況はTwitterなどで情報を公開しているところもあります。「〇〇入管 混雑状況」と検索して情報を得ると良いでしょう。
私自身が入管に訪れた際、30分以内で手続きが完了したこともあれば、半日待たされたこともあります。申請には時間に余裕を持って出向くことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では「在留資格変更許可申請」について詳しく解説しました。入管申請は特定技能に限らず、他の在留資格においても制度が複雑であり、理解しにくいため困難を感じることも少なくありません。

当事務所は在留資格、特に特定技能に関する専門知識を有しておりますので、各種申請に対応可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。