特定技能(素形材産業)分野で雇用する場合の要件

特定技能(素形材産業)分野で雇用する場合の要件

2022年5月24日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

この記事では、特定技能外国人を素形材産業分野で雇用する方法について解説していきます。

この分野での注意点は、

業 務 区 分
(従事させる仕事内容)

が細かく分かれていることです。
その点に注意しながら読み進めてください。

1、主となる業務

下記の表に当てはまる業務に従事させることができます。
なお、特定技能外国人は、従事する業務の試験に合格していることが前提となります。

業務区分              業務内容
鋳造指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,溶かした金属を型に流
し込み製品を製造する作業
鍛造指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,金属を打撃・加圧する
ことで強度を高めたり,目的の形状にする作業
ダイカスト指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,溶融金属を金型
に圧入して高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する作業
機械加工指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,旋盤,フライス盤,ボー
ル盤等の各種工作機械や切削工具を用いて金属材料等を加工する作業
金属プレス加工指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,金型を用いて金属材料に
プレス機械で荷重を加えて,曲げ,成形,絞り等を行い成形する作業
工場板金指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,各種工業製品に使われる
金属薄板の加工・組立てを行う作業
めっき指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,腐食防止等のため金属等
の材料表面に薄い金属を被覆する作業
アルミニウム陽極酸化処理指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,アルミニウムの表面を酸
化させ,酸化アルミニウムの皮膜を生成させる作業
仕上げ指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,手工具や工作機械により
部品を加工・調整し,精度を高め,部品の仕上げ及び組立てを行う作業
機械検査指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,各種測定機器等を用いて
機械部品の検査を行う作業
機械保全指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,工場の設備機械の故障や
劣化を予防し,機械の正常な運転を維持し保全する作業
塗装指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,塗料を用いて被塗装物
を塗膜で覆う作業
溶接指導者の指示を理解し,又は,自らの判断により,熱又は圧力若しくはそ
の両者を加え部材を接合する作業

2、従事させてよい関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務

例えば、原材料・部品の調達・搬送作業 、各職種の前後工程作業 、クレーン・フォークリフト等運転作業、清掃・保守管理作業といった関連する業務は行うことができます。

※専ら関連業務に従事することは認められません。
(関連業務のみさせることはダメということです)

3、雇用する企業側の条件

素形材産業分野の場合、雇用する企業側の業種を正確に特定しなければなりません。

細分類2194ー鋳型製造業(中子を含む)
小分類225ー鉄素形材製造業
小分類235ー非鉄金属素形材製造業
細分類2424ー作業工具製造業
細分類2431ー配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)
小分類245ー金属素形材製品製造業
細分類2465ー金属熱処理業
細分類2534ー工業窯炉製造業
細分類2592ー弁・同附属品製造業
細分類2651ー鋳造装置製造業
細分類2691ー金属用金型・同部分品・附属品製造業
細分類2692ー非金属用金型・同部分品・附属品製造業
細分類2929ーその他の産業用電気機械器具製造業(車両用,船舶用を含む)
細分類3295ー工業用模型製造業

上記に該当するかは、事前確認が必要となります!

「確認の方法と手順」
①e-Stat(日本標準産業分類確認)で自社の該当する産業を特定する→こちら
②相談窓口(JTB)に電話で問い合わせて確認する
相談窓口:株式会社JTB 専用回線:03-5909-8762 / 03-5909-8746
③上記一覧に該当しているかチェックする

これで特定技能外国人を受入れることができる産業分野なのかが特定できます。

ちなみに、この産業分野に該当しないにも関わらず特定技能外国人を雇用し業務に従事させ続けると

不法就労助長罪
(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)

が科せられることになりかねません。

4、雇用形態

フルタイムでの直接雇用のみ認められます。
(フルタイム)
・労働日数が週5日以上
・年間217日以上
・週労働時間が30時間以上

※アルバイトやパート、または派遣形態での雇用は認められません。

5、合格が必要な試験

①技能試験

製造分野特定技能1号評価試験(※業務区分ごとに合格が必要な技能試験が違います)
試験実施団体:経済産業省(こちら

②日本語試験

「日本語能力試験(JLPT)※N4以上」(こちら

もしくは

「国際交流基金日本語基礎テスト」(こちら

6、技能実習から移行の場合

例えば、技能実習で「塗装」の職種に従事していて、その作業が「金属塗装」であれば、技能試験なしで特定技能への移行が可能ということです。

特定技能業務区分  技能実習での職種    技能実習での作業 
鋳造鋳造鋳鉄鋳物鋳造
非鉄金属鋳物鋳造
鍛造鍛造ハンマ型鍛造
プレス型鍛造
ダイカストダイカストホットチャンバダイカスト
コールドチャンバダイカスト
機械加工機械加工普通旋盤
フライス盤
数値制御旋盤
マシニングセンタ
金属プレス加工金属プレス加工金属プレス
工場板金工場板金 機械板金
めっきめっき電気めっき
溶融亜鉛めっき
アルミニウム陽極酸化処理アルミニウム陽極酸化処理陽極酸化処理
仕上げ仕上げ治工具仕上げ
金型仕上げ
機械組立仕上げ
機械検査機械検査機械検査
機械保全機械保全機械系保全
塗装塗装建築塗装
金属塗装
鋼橋塗装
噴霧塗装
塗装塗装手溶接
半自動溶接

※他の職種で技能実習2号を終了し特定技能へ移行する場合

技能試験:合格が必要

日本語試験:免除

7、協議会への加入

初めて特定技能外国人を雇用する場合「入管へ在留資格特定技能の申請」に加入が必要です。

「問い合わせ先」
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 運営事務局(こちら
加入方法 :ホームページから加入できる
加入費用: 不要(2022年4月現在)

まとめ

いかがでしたか?
素形材産業分野において、特定技能外国人を雇用するにあたり

受入れる企業の業務区分をしっかり確認する

従事させる業務ごとに試験が異なる

入管申請前に協議会に加入する

が注意点となります。

なお、記事中にもありましたように、特定技能外国人を雇用するにあたり、受入れる企業側にも

不法就労助長罪

という厳しい罰則が設けられており、「知らなかった」では済まされません。

このようなことに注意しながら慎重に雇用準備を進めていきましょう。