特定技能トラック運送業:雇用開始から1年間の流れ│特定技能×運送業│解説ブログ

特定技能トラック運送業:雇用開始から1年間の流れ│特定技能×運送業│解説ブログ

2024年5月16日

記事内容:トラック運送業で特定技能外国人求職者との面接に始まり、雇用から1年経過後の在留期間更新許可申請に至るまでを時系列で解説した記事になります。


こんにちは。トラックドライバー歴18年で、現在は特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

特定技能外国人の雇用手続きは、運送業に限らず複雑で、専門の行政書士でも進捗状況の把握に戸惑うことがあります。今回は運送会社のご担当者様から多く寄せられる「特定技能1号外国人を雇用するまでの流れ」について解説します。この情報は、これから特定技能1号トラックドライバーの雇用に向けて準備を始める運送会社にとって有益ですので、ぜひ参考にしてください。

1. 全体の流れを把握する

雇用開始から1年間の流れは、大きく10段階に分けられます。

  1. 紹介者からの求職者の紹介
  2. 面接
  3. 内定 → 内定書及び雇用契約の締結
  4. 在留資格「特定活動」の申請準備と入管申請
  5. 資格試験の受験と取得
  6. 在留資格「特定技能1号」の申請準備と入管申請
  7. 在留資格「特定技能1号」として正式雇用
  8. 横乗り研修の開始
  9. 四半期に一度の定期報告
  10. 1年に一度の在留期間更新申請

2. 各工程ごとの解説

1. 紹介者からの求職者の紹介

まず、在留資格「特定技能1号」でトラックドライバーとして働きたい求職者を見つける必要があります。有料職業紹介所からの斡旋をはじめ、いくつかの方法があります。求職者の探し方については、関連する記事をご参考ください。

特定技能トラック運送業:人材探し5つの方法│特定技能×運送業│解説ブログ(自動車運送業分野)
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2. 面接

日本人と同様に面接を実施します。求職者が国内の遠方や海外にいる場合は、オンラインでの面接も効果的です。言語の問題を考慮し、通訳者を同席させることが重要です

3. 内定 → 内定書及び雇用契約の締結

面接後、内定者が決定したら「内定書」を発行し、雇用契約を締結します。特定技能1号の場合、入管申請時に提出する所定の「雇用契約書」「雇用条件書」を使用することをお勧めします。

また、雇用契約締結後には「事前ガイダンス」を実施し、登録支援機関が間に入って雇用条件の説明を行います。

4. 在留資格「特定活動」の申請準備と入管申請

特定技能1号の入管申請は、まず「特定活動」を取得し、その後特定技能1号へ進みます。この「特定活動」(6カ月)の期間に、技能評価試験の合格と自動車運転免許の取得を行う必要があります。「特定活動」期間中に働くことは認められており、この期間に研修を実施することが効果的です。

5,資格試験の受験と取得

特定技能1号トラックドライバーとして就労するためには、第一種普通自動車免許、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)、日本語能力検定N4以上の取得が必要です。「特定活動」期間内にこれらの資格を取得しなければ、雇用契約は白紙となるため、運送会社の担当者は学習に対する管理とサポートを徹底する必要があります。

6,在留資格「特定技能1号」の申請準備と入管申請

在留資格「特定活動」から「特定技能1号」への変更申請を行います。特定技能1号の申請には、受入企業の確認資料、公的証明書、各種様式など多くの書類の提出が求められます。私の行政書士事務所でも準備に1カ月はかかります。受入準備については、関連する記事をご参考ください。

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7. 在留資格「特定技能1号」として正式雇用

特定技能1号の在留資格で正式に雇用が開始されます。期間の目安は3カ月から6カ月以上です。なお、雇用後の手続きに関する記事も公開しています。是非、参考にしてみてください。

特定技能×解説ブログ:受入後にすること(届出・手続き・加入)
こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いで…
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8. 横乗り研修の開始

運送会社での雇用が始まると、まずは先輩ドライバーの横乗りからスタートします。この横乗り研修については、様々なトラブルが予想されるため、私の18年のトラックドライバー経験と特定技能1号外国人に関する知識を基にした問題点と解決策をまとめた記事をご参考ください。

特定技能トラック運送業:横乗り期間での5つの問題点│特定技能×運送業│解説ブログ(自動車運送業分野)
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9. 四半期に一度の定期報告

特定技能1号外国人を雇用すると、四半期に一度(3カ月に一度)出入国在留管理局へ定期報告を行う必要があります。慣れてくると簡単になりますが、最初はかなりの労力が必要です。この定期報告は、受入企業である運送会社と外国人を支援する登録支援機関の双方が提出します。

10. 1年に一度の在留期間更新申請

在留資格「特定技能1号」の在留期限は1年間です。在留期限の3か月前から申請できます。更新日を過ぎると不法滞在(オーバーステイ)となり、最悪は強制送還となるため、注意が必要です。更新の申請は、最初の特定技能1号の申請時より提出書類が少ないですが、民間の登録支援機関の申請は不備が多いという情報も多くあります。

まとめ

いかがでしたか。
今回は、運送会社で特定技能1号外国人を雇用する上で、時系列で工程を解説してみました。
運送業に限らず特定技能1号での雇用は複雑で難解です。常に予定を管理し進捗状況を確認しながら、準備を進めていくことが、スムーズな雇用に繋がる秘訣となります。

今回の記事も含め、特定技能1号外国人の雇用する上で、ご不明な点やご質問等がございましたら、お気軽にご連絡ください。私も人手不足解消に向けて一助となれれば幸いです。