こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
技能実習制度の廃止から新制度へ
さて、「どうなる?技能実習」から約6ヵ月。ようやく今後の方向性が決まりつつあるようです。
2023年11月24日、日本政府の有識者会議は、外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しに関する最終報告書を発表しました。この報告書では、平成5年から続いてきた外国人技能実習制度の廃止と、新たな「育成就労制度」(仮称)の創設を提案しています。
今回はこちらのニュース記事を私のコメント付きでわかりやすく解説していきます。
新制度の概要
新制度の特徴
新制度の目的は、外国人の育成と就労の両方に重点を置くことです。この制度では、3年間の育成期間を経て、日本語試験と技能試験に合格することで、特定分野での就労が可能になる「特定技能1号」への移行が認められます。
特定技能1号を見据えた実習制度といえるでしょう。特定技能1号を正社員とするなら今回の育成就労制度(仮)は試用期間の社員あるいは契約社員的なものですね。
転籍(転職)の認定基準
新しい制度のもう一つの特徴は、外国人労働者の転籍を容易にすることです。育成期間中でも、2年目から、日本語試験と技能試験に合格するなどの条件を満たせば、転籍が認められます。これにより、外国人労働者はより柔軟に職場を選べるようになります。
これまでの技能実習制度はあくまでも実習という形態なので「転職」という概念がありませんでした。この制度は条件を満たせば「見習い先の変更OK」ということですね。
地方人材流出の懸念と対策
地方からの人材流出を懸念する声に応えて、政府は転籍を制限できる期間を延長する案も検討しましたが、原則として1年での転籍を可能にする方針は維持しました。ただし、経過措置として転籍を制限できる期間を延長する余地は残されています。
地方の人材不足の状況を考慮して「すぐに転職できない期間」を設けているというわけです。
監理団体の役割と人権問題への対応
受け入れを仲介する監理団体については、過去に人権侵害が指摘されていたため、許可要件を厳格化する方針です。また、外国人を支援する外国人技能実習機構の体制を強化し、日本語教育の質向上も目指します。
人権侵害、すなわちハラスメント行為ですが、そもそも管理団体がきちんと対応していなかったことが問題であったという事実から許可要件を厳しくするということです。
個人的には遅すぎると思いますが・・・
今後の展望
政府は、この報告をもとに、来年の通常国会で関連法案を提出する予定です。この改革により、外国人労働者の技能向上、就労機会の拡大、そして人権の保護が期待されています。
この制度改革は、国際社会における日本のイメージ向上にも寄与することでしょう。また、日本国内での労働力不足を解消し、多様な人材の受け入れによって経済の活性化を促す一歩となる可能性があります。新制度に対するさまざまな意見や期待が寄せられており、今後の動向に注目が集まっています。
まとめ
いかがでしょうか?
私も仕事がら実習生と受入企業の双方から様々な情報が入ってきます。
給料が適正でない、パワハラを受けている・・・
あいさつしない、使えない、逃げた・・・
制度の見直しもいいですが、まずは互いの歩み寄りが大切なのではないでしょうか⁈
日本は超人材不足社会の真っただ中です。それならば受入企業も「来てくれてありがとう」という感謝の気持ちも必要ですし、実習生も待遇ばかりを重視するのではなく奉仕の精神を持ち合わせての就労という考え方に切り替えなければならないと思います。