特定技能1号「トラックドライバー」閣議決定

特定技能1号「トラックドライバー」閣議決定

2024年4月5日

こんにちは。トラックドライバー歴18年で、現在は特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

今日は、日本政府による特定技能在留資格制度の職種が追加されたニュース記事を受け、私の見解を交えながら解説したいと思います。

【NHK】人手不足の分野で外国人労働者を受け入れている「特定技能」について、政府は29日の閣議で自動車運送業や鉄道など4つの分野を…
www3.nhk.or.jp

概要

日本政府は人手不足に悩むさまざまな業界への対応策として、外国人労働者を受け入れる「特定技能」制度の対象分野を拡大することを決定しました。これは、国内での労働力不足を補うための重要な措置とされています。

特定技能制度について

「特定技能」とは、特定の専門技能を持つ外国人労働者に与えられる在留資格です。この制度を通じて、日本は深刻な人手不足を補い、経済の持続可能な成長を目指しています。

新たに追加される分野

2024年3月29日の閣議において、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4つの新たな分野が「特定技能」対象として追加されることが承認されました。

現在の対象分野との比較

現行の制度では、介護、建設、農業など12の分野が対象となっています。今回の追加により、合計16の分野で外国人労働者が活躍する道が開かれます。

新分野で求められる技能と条件

特に、自動車運送業と鉄道分野では、コミュニケーション能力や安全管理に関する高いスキルが要求されます。そのため、これらの分野では他の分野よりも高度な日本語能力が必要条件とされています。

受け入れ予定人数

政府は、来年度からの5年間で新たに追加される4分野を含む全16分野で、最大82万人の外国人労働者の受け入れを見込んでいます。これは、日本国内の人手不足問題の緩和を大きく進めるものと期待されています。

法整備について

政府は来月以降、この制度の拡大に向けて必要な省令の改正などの法整備を進める予定です。これにより、新たに追加される分野での外国人労働者の受け入れがスムーズに行われることが期待されます。

小泉法務大臣は、閣議後の記者会見で、人手不足の解消と外国人労働者へのニーズの高まりに触れ、「適切な環境整備を丁寧に図っていくことが最も大事」と述べました。これは、外国人労働者が日本で働く上で必要な支援や制度の整備を重視する姿勢を示しています。

私の見解

日本政府が「特定技能」対象分野に自動車運送業を含めることに関して、私はいくつかの懸念から反対の立場を取ります。特に、トラック運転手としての職務には、単にハンドルを握る以上の責任と専門知識を要求される仕事です。事故が発生した際の迅速かつ適切な対応、配達先でのコミュニケーション、積荷の日本語表記への理解、そして日本独特の交通文化やルールへの適応は、トラック運転手に求められる不可欠なスキルです。これらの理由から、自動車運送業における外国人労働者の受け入れには慎重であるべきだと考えます。

これは、私自身が過去にトラック運転手の仕事に従事していた経験者として言えることです。

さらに、人手不足を理由に幅広い分野での外国人労働者の受け入れを進める現在の方針にも疑問を感じます。日本にはすでに多くの在日外国人がおり、中には永住権を持つ者や日本の社会・文化に深く根ざした生活を送っている者もいます。彼らは日本の社会や言語、文化に適応しており、即戦力となり得る可能性があります。そのため、新たに外国人労働者を受け入れる前に、まずは在日外国人の雇用を優先的に検討し、彼らが活躍できる環境を整えることが重要だと考えます。

このように、自動車運送業における外国人労働者の受け入れには様々な懸念があり、また、人手不足問題の解決策として特定技能制度を利用する際には、在日外国人のポテンシャルをもっと活用すべきだというのが私の見解です。日本政府には、これらの懸念を真摯に受け止め、外国人労働者の受け入れ政策において、より総合的でバランスの取れたアプローチを期待します。