【注目記事】技能実習制度の廃止で代わる「育成制度」について

【注目記事】技能実習制度の廃止で代わる「育成制度」について

2024年2月14日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

日本政府は最近、外国人労働者の受け入れに関する重要な政策変更を発表しました。従来の「技能実習制度」を廃止し、「育成就労制度」という新たな枠組みを導入することで、外国人材の受け入れ体制を大幅に見直す方向性を打ち出しました。この改革は、外国人労働者がより柔軟に職場を変更できる「転籍」を条件付きで認めることを特徴としています。本記事では、この新しい政策の概要、背景、そしてそれが日本の労働市場に及ぼす可能性のある影響について解説します。

政府、新たな外国人材受け入れ制度を発表

日本政府は、外国人材の受け入れと共生に関する取り組みを強化するため、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催しました。この会議で、労働しながら技術を学ぶ現行の「技能実習制度」を廃止し、新たに人材確保を目的とした「育成就労制度」の創設方針が決定されました。

新制度「育成就労」の概要

新制度「育成就労」では、外国人が一定期間、同じ業務分野で働いた後に職場を変更する「転籍」を条件付きで認めます。これは、人手不足分野における人材確保と育成を目指すものです。転籍可能となる期間は原則1年以上で、分野によっては最長2年とされます。

技能実習制度の問題点と改革の必要性

現在の技能実習制度では、「転籍」が原則として認められておらず、一部の技能実習生が厳しい労働環境に置かれ、失踪するケースが相次いでいました。また、外国人労働力の確保に利用されている実態や、人権侵害の問題も指摘されていました。こうした背景から、より働きやすい制度への改革が求められていました。

新制度の目指すもの

政府は、新制度を通じて「日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会」の実現を目指します。また、外国人が日本でキャリアアップしつつ活躍できる環境を整備し、人権侵害の防止・是正を図り、日本を魅力ある働き先として位置付けることを強調しています。

法案の提出と今後の展開

政府は、新制度に関する法案を今国会に提出し、成立を目指します。岸田首相は、外国人材から選ばれる国になるために、技能実習制度および特定技能制度の見直しに向けた作業を進めることを指示しています。

感想:外国人材受け入れ制度の改革についての考察

日本政府による外国人材受け入れ制度の見直しは、特に技能実習制度の改革において重要な一歩であると感じます。新しく提案された「育成就労制度」における「転籍」の可能性は、これまでの制度になかった柔軟性をもたらすものであり、その点においては歓迎すべき方向性です。

しかし、この改革が遅れているという感は否めません。技能実習生への対応が不適切な企業の淘汰は、労働環境の改善という観点からも必要な措置と言えます。

転籍を可能とする新制度において、管理団体の役割がより重要になることが予想されます。転籍希望者への適切なサポートと管理が求められる中で、これらの団体がその責務を果たせるかどうかは、制度の成功において重要な要素となるでしょう。

さらに、日本が国際的な労働市場において「選ばれる国」となるためには、単に制度を見直すだけでは不十分です。技能実習生を受け入れる企業が、責任を持って適切な雇用を行うことが必要です。

現状では、日本は既に一部の外国人労働者から選ばれない傾向にあります。この状況を克服するためには、改革された制度の下で、企業が外国人材の受け入れに際して真の責任を持つことが求められます。そうでなければ、日本はさらに国際的な労働市場での魅力を失うことになるでしょう。