こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
特定技能制度において、他の職種に比べ建設分野のみ申請の方法が異なるため、特集として記事を投稿いたします。
目次
1、資格取得までのフロー
建設特定技能の場合、
最初に建設特定技能受入計画の認定申請
次に在留資格特定技能の申請
という流れになります。
なお、当然ですが、この順番を入れ替えることはできず、先に国交省の認定を受けて出入国在留管理局への申請という手順になります。
2、建設特定技能受入計画の認定
まずは、最初に認定申請する建設特定技能受入計画(国土交通省)を具体的にみていきましょう。
「認定要件」
①建設業許可取得事業者であること
②JACに加入していること
③建設キャリアアップシステムに登録していること
④過去1年以内に同じ業種に関する求人情報をハローワークに出していること
①建設業許可取得事業者であること
建設業許可は「一般」「特定」どちらでも構いません。
②JACに加入していること
JACとは?
一般社団法人 建設技能人材機構のことです。
主に特定技能外国人の受入れサポート、技能評価試験の実施、職業紹介や環境の整備、さらには受入れ先の企業サポートを行っています。
JACの事業活動
教育訓練・技能試験
JACでは、現在ベトナム、フィリピンの関係機関等と連携し、日本語や技能・安全衛生教育等の教育訓練を実施しています。試験では、海外とオンラインでつなげて、日本での審査を実現しました。
また、日本国内でも関係建設業団体と連携し、特定技能評価試験を実施しています。細かい調整、会場の確保、受験者の募集、試験官の派遣や資機材の調達などもJACで行っています。
無料職業人材紹介事業
一般的には、企業は特定技能外国人の人材紹介を受ける時、民間の職業紹介事業者が介在することが想定されます。しかし、建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、もしくは解体の作業、またはこれらの作業の準備の作業に係る業務)に就く職業については、一般の民間の有料職業紹介事業者による職業紹介は行ってはいけないこととなっています。このためJACでは、傘下の団体の会員である受入企業や賛助会員である受入企業に対して、無料で人材紹介を行っております。
適正就労監理
特定技能外国人の受入企業への見回りや特定技能外国人からの苦情や相談受付のことです。
制度周知・グッドプラクティスの普及
広報活動や特定技能外国人の表彰などを行っています。
JACへの加入費用
この社団法人は半公的機関なのですが、加入するには入会金を支払う必要があります。
基本的には賛助会員として入会するのですが、その費用は
24万円/年間
ただし、下記の協会や団体に入っていれば入会金は必要ありません。
受入企業を傘下に有する正会員団体一覧(40建設業者団体)令和4年4月1日現在
・型枠施工 (一社)日本型枠工事業協会(03-6435-6208)
・左官 (一社)日本左官業組合連合会(03-3269-0560)
・コンクリート圧送 (一社)全国コンクリート圧送事業団体連合会(03-3254-0731)
・トンネル推進工 (公社)日本推進技術協会(03-5639-9230)
・建設機械施工 (一社)日本機械土工協会 03-3845-2727
(一社)日本発破・破砕協会 03-5644-8750
(一社)全国基礎工事業団体連合会 03-3612-6611
(一社)日本建設機械レンタル協会 03-3255-0511
(一社)日本基礎建設協会 03-6661-0128
・電気通信 (一社)情報通信エンジニアリング協会(03-3464-3211)
・鉄筋施工 (公社)全国鉄筋工事業協会(03-5577-5959)
・鉄筋継手 全国圧接業協同組合連合会 (03-5821-3966)
・内装仕上げ (一社)全国建設室内工事業協会 (03-3666-4482)
日本室内装飾事業協同組合連合会 (03-3431-2775)
日本建設インテリア事業協同組合連合会 (03-3239-6551)
・とび (一社)日本鳶工業連合会 (03-3434-8805)
(一社)日本建設軀体工事業団体連合会 (03-3972-7221)
・建築大工 全国建設労働組合総連合 (03-3200-6221)
(一社)日本ツーバイフォー建築協会 (03-5157-0831)
(一社)日本在来工法住宅協会 (03-6408-0285)
(一社)全国住宅産業地域活性化協議会 (03-3537-0287)
・配管 全国管工事業協同組合連合会 (03-5981-8957)
・建築板金 (一社)日本金属屋根協会 (03-3639-8954)
(一社)日本建築板金協会 (03-3453-7698)
(一社)全国ダクト工業団体連合会 (06-4802-8606)
・保温保冷 (一社)日本保温保冷工業協会 (03-3865-0785)
・吹付ウレタン断熱(一社)日本ウレタン断熱協会 (03-3667-1075)
・海洋土木工 日本港湾空港建設協会連合会 (03-3432-2671)
・その他 (一社)全国建設業協会 (03-3551-9396)
(一社)日本道路建設業協会 (03-3537-3056)
(一社)全国中小建設業協会 (03-5542-0331)
(一社)日本電設工業協会 (03-5413-2161)
(一社)日本空調衛生工事業協会 (03-3553-6431)
(一社)全国防水工事業協会 (03-5298-3793)
(一社)マンション計画修繕施工協会 (03-5777-2521)
(一社)全国中小建設工事業団体連合会 (03-5651-7301)
③建設キャリアアップシステムに登録していること
「建設キャリアアップシステム」、建設業で働かれている方は既にご承知のことでしょう。
ちなみに、弊所は建設キャリアアップシステムの認定登録機関で審査窓口の業務を行っているため、この分野に関しては、特に専門知識を有しています。
建設特定技能受入計画認定を国土交通省へ申請する場合、
事業者ID
(登録時に送付されてきた「登録完了のお知らせ」ハガキ)
技能者ID
(建設キャリアアップシステム技能者カードの写し)
この2点が必要となります。
私が事業者から相談を受ける中、よくあるのは
技能者IDは必要ない
と勘違いされている方が多くいらっしゃいます。
「捕捉」
建設キャリアアップシステムの登録完了までには、登録内容にもよりますが約2週間~3週間を要します。あと、インターネット申請と窓口申請という2つの手段において、ネット申請は何らかの不備があり突き返されるとそれからまた2週間となってしまうため、お急ぎの方は、うちのような機関で「窓口申請」されることをおすすめします。
④ハローワークに求人を出していること
ハローワークに求人を出していることが必要となります。
- 直近1年以内のもの
- 雇用する特定技能外国人と同じ業務であること
- 雇用する特定技能外国人と同等の雇用条件であること
準備する書類一覧
書 類 名 |
---|
①登記事項証明書(履歴事項全部証明書)個人事業主の場合は住民票を用意します。 |
②建設業許可証(許可通知書又は許可証明書) |
③健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書 |
④建設キャリアアップシステムの事業者IDを確認する書類(事業者ID取得時に送付されてきた圧着ハガキ) |
⑤特定技能外国人受入事業実施法人に加入していることを証する書類(JAC加入証明書) |
⑥ハローワークの求人票(直近1年以内) |
⑦同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(専用の記入用紙あり) |
⑧就業規則及び賃金規程常時(10人以上の労働者を雇用していない企業で、これらを作成していない場合は不要) |
⑨同等の技能を有する日本人の賃金台帳(⑦で比較した同等の技能を有する日本人従事者の賞与を含む賃金台帳(直近1年分) |
⑩同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類(⑦で記載した日本人従事者の経歴書を用意します。書式に定めなし) |
⑪特定技能雇用契約書及び雇用条件書(専用の記入用紙あり) |
⑫時間外労働・休日労働に関する協定届、変形労働時間に係る協定書、協定届、年間カレンダー |
⑬雇用契約に係る重要事項事前説明書(専用の記入用紙あり) |
⑭建設キャリアアップカード(技能者IDが記載されたカードの写し) |
認定されるまでの期間
私が国土交通省の担当部署へ電話で問い合わせてみたところ
約2ヵ月
ということでした。
3、出入国在留管理局へ申請
上記の手続きを経て、ようやく在留資格(ビザ)の申請となります。
なお、出入国在留管理局への申請の際には
建設特定技能受入計画認定証
が必要となります。
※在留資格の具体的な申請については、別の記事にて解説いたします。
4、特定技能外国人を雇用後
建設分野に限らず、特定技能外国人を雇用すると様々な届出や受講義務があります。
①建設業で受入れたら、まずコレをする!
「雇用する企業」
原則として1か月以内に「受入報告書」(オンライン)を用いて国土交通大臣に報告を行うことが必要です。
「特定技能外国人本人」
国土交通大臣が指定する受入れ後講習を受講しなければなりません。
②定期での届出(出入国在留管理局)
届出方法
①随時届出:事由発生日から14日以内(何かしらの変更があった際の届出のことです)
②定期届出:四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内
※ 四半期は次のように定められています。
第1四半期: 1月1日から 3月31日まで 第3四半期:7月1日から 9月30日まで
第2四半期: 4月1日から 6月30日まで 第4四半期:10月1日から 12月31日まで
提出に当たっては、特定技能所属機関(本店又は主たる事務所)の住所を管轄する地方出入国在留管理官署に持参又は郵送により提出するか、出入国在留管理庁電子届出システムから提出してください。
まとめ
特定技能外国人を建設業で雇用する場合、他の職種と違い国土交通省の「建設特定技能の受入計画」の認定を受けなければなりません。私が受任した経験からの感想として・・・
- 3ヵ月以上の期間を要する
- JACの入会金があるためコストがかかる
- 建設キャリアアップも含めやることが多い
- 特定技能外国人が受験する試験が頻繁に行われていない
- 制度が複雑で一般の方ではわかりにくい
ネガティブなものが並びましたが、私の正直な感想です。
当事務所は、特定技能を専門とする行政書士事務所です。
特に難解である建設分野においても、専門知識を有しているため、受入れ前から雇用後に至るまで徹底サポートすることが可能です。
特定技能外国人の受入れを検討している
雇用している技能実習生を特定技能に移行したい
などでお困りの方は、是非、ご相談ください。