外国人ドライバーの採用が進むなか、多くの運送会社が課題として挙げるのが「コミュニケーション」です。
「説明したはずなのに伝わっていなかった」「指示の意図が理解されていなかった」といった経験をしたことがある管理者も少なくないでしょう。
特定技能外国人には一定の日本語能力が求められていますが、日本人同士と同じ感覚で会話が成立するとは限りません。特に運送業では安全運行に関わる指示も多いため、正確な意思疎通が欠かせません。
そこで今回は、外国人材との会話で実際に効果を感じやすい「伝わる日本語の話し方」について解説します。
目次
なぜ日本語が通じないのか
外国人材との会話で誤解が生じる原因は、日本語能力の不足だけではありません。
日本人は無意識のうちに省略表現や曖昧な表現を多用しています。
例えば、
「あとで見ておいてください」
「適当にやっておいてください」
「その辺を確認しておいてください」
といった表現です。
日本人同士であれば文脈から理解できますが、日本語を学習中の外国人材にとっては意味が曖昧で、具体的に何をすればよいのか判断できないことがあります。
また、専門用語や業界用語も理解を難しくする要因になります。
まずはゆっくり、はっきり話す
外国人材との会話で最も効果的なのは、意識してゆっくり話すことです。
日本人同士の会話スピードは、外国人にとって非常に速く感じられます。
相手が単語を知っていても、早口だと聞き取れないことがあります。
特に初めて説明する内容や安全に関する指示を伝える際は、
「ゆっくり」
「短い文章で」
「区切りながら」
話すことを意識すると理解度が大きく向上します。
声を大きくする必要はありません。大切なのは話す速度を落とすことです。
英語や外国語を完璧に話す必要はない
外国人材とのコミュニケーションというと、「英語が話せないと難しい」と考える方もいます。
しかし実際には、完璧な英語力は必要ありません。
例えば、
「Check」
「Safety」
「Stop」
「Danger」
といった簡単な単語を補足するだけでも理解しやすくなる場合があります。
特にアジア諸国の外国人材は、母国語以外に英語を学んでいるケースも多いため、日本語だけでは伝わりにくい内容でも、英単語を添えることで理解できることがあります。
重要なのは正しい英語を話すことではなく、相手に伝えようとする姿勢です。
同じ意味を別の言葉で言い換える
外国人材との会話で特に効果的なのが、同じ意味を複数の言葉で伝える方法です。
例えば「確認してください」と伝える場合でも、
「確認してください」
「チェックしてください」
「しっかり見てください」
「大丈夫か見てください」
「OKか確かめてください」
というように複数の表現を続けて使います。
外国人材が最初の言葉を知らなくても、別の表現なら理解できることがあります。
実際に日本語学習者は、同じ意味でも知っている単語と知らない単語が混在しているケースが珍しくありません。
一つの表現だけで伝わらなければ、別の言葉に置き換える。この意識を持つだけで会話の成功率は大きく変わります。
翻訳アプリだけに頼らないことも重要
近年は翻訳アプリやAI翻訳の性能が向上しています。
もちろん積極的に活用すべきツールですが、現場では常にスマートフォンを使えるとは限りません。
荷物の積み込みや点呼、配送中の連絡など、瞬時の判断が必要な場面では、日本語での直接的なコミュニケーションが重要になります。
だからこそ、管理者や先輩ドライバーが「伝わる話し方」を身につけることには大きな価値があります。
小さな工夫が信頼関係をつくる
外国人材とのコミュニケーションは、特別な技術が必要なものではありません。
ゆっくり話す。
簡単な英単語を使う。
別の言葉で言い換える。
こうした小さな工夫を積み重ねるだけでも、理解度は大きく変わります。
運送業ではコミュニケーション不足が事故やトラブルにつながる可能性もあります。一方で、日頃から「伝わる話し方」を意識することで、現場のミスを減らし、外国人材との信頼関係を深めることができます。
外国人材に日本語を理解してもらう努力だけでなく、日本人側が伝え方を工夫することも、円滑な職場づくりと長期定着への重要な第一歩といえるでしょう。

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