特定技能トラック運送業:日本人社員との人間関係│特定技能×運送業│解説ブログ(自動車運送業分野)

特定技能トラック運送業:日本人社員との人間関係│特定技能×運送業│解説ブログ(自動車運送業分野)

記事内容:特定技能外国人を雇用する運送会社の社内で起こることが考えられる「特定技能1号外国人の孤立」というテーマに焦点をあててお伝えした記事となります。


こんにちは。トラックドライバー歴18年(運行管理者資格保有)で、現在は特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

現状

トラック運送会社で働くトラックドライバーですが、良し悪しはさて置き、コミュニケーション能力が低い傾向にあります。逆に言えば、人と交流することが苦手だから「トラック運転手になった」というドライバーも少なくないでしょう。また、完全に孤立している、あるいは特定の人間だけと会話するという、これもトラックドライバーの人間関係でよくあることです。
このような人間関係の職場に特定技能1号外国人が入ってきた場合に想定されることをお伝えしてみます。

想定される問題点

一部の日本人従業員からの不満

特定技能1号外国人を雇用する際の重要な要件の一つが、「日本人と同等以上の給与と待遇」です。例えば、外国人が2年の経験を持つ場合、同じ2年の経験年数を持つ日本人従業員と同等の給与を設定する必要があります。

しかし、特定技能1号外国人が従事する業務は、初めから高度で難易度が高いものを任せることは難しいでしょう。ここで生じる可能性のある問題は、日本人従業員からの不満です。「簡単な業務なのに、なぜ彼らが同じ給料をもらえるのか」という意見が出ることが考えられます。

さらに、特定技能1号外国人は、定期的に母国への一時帰国を希望することがあります。この際に取られる長期連休は、「自分たちはなかなか休みが取れないのに、なぜ外国人だけが特別扱いされるのか」という感情を引き起こすことがあります。

これらの問題に対処するためには、職場内での透明性の高いコミュニケーションと、公平な待遇の原則を徹底することが重要です。すべての従業員に対する説明会を定期的に開催し、制度の意図や外国人従業員の雇用が会社にもたらす利点を理解してもらうことが、円滑な職場環境のキーポイントになります。

言語の壁によるコミュニケーションの問題

言葉が通じないことによる指示の誤解や、仕事の進行に関する誤解が生じることがあります。これは、日常業務だけでなく、安全指導や緊急時の対応にも影響を与える可能性があります。

職場文化への適応の困難

日本特有の職場文化や無言の了解、例えば、「空気を読む」文化に馴染めず、日本人同僚との間で摩擦が生じることがあります。また、残業や休日出勤といった労働習慣に対する価値観の違いもトラブルの一因となり得ます。

差別や偏見による問題

特定技能1号外国人を受け入れている企業では、日本人労働者からの意識的、または無意識的な差別や偏見により、外国人労働者が職場で孤立することがあります。これには、昇進や待遇面での不公平が含まれることもあります。

宗教や慣習の違い

外国人労働者の中には、宗教上の問題で食事の制限や宗教的な行事、祈りの時間など、宗教や文化的慣習の違いが職場での調整を必要とする場合があります。これが適切に管理されないと、誤解や不和を招くことがあります。

まとめ

今回の記事では、特定技能1号外国人がトラック運送会社で就労する際に想定される、日本人従業員との間で起こり得る問題についてお話ししました。

私自身も、特定技能1号外国人はもちろん、他の在留資格を持つ外国人との交流を通じて、日本人として理解しがたい言動に遭遇することがあります。しかし、彼らには彼らの文化や習慣、性格、気質があり、これらは日本人とは異なるものです。単に否定するのではなく、異文化を素直に受け入れる姿勢が重要だと考えています。

このような背景を踏まえ、日本人トラックドライバーを含む従業員には、外国人労働者との摩擦を避けるために、事前に丁寧な説明を行い、理解を深めてもらうことが必要不可欠です。