こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
目次
特定技能トラックドライバー雇用の注意点
今回は、特定技能1号外国人の雇用を開始した場合における注意する点について解説していきます。既に特定技能1号外国人労働者を受け入れている企業はもちろんのこと、これから受入れを検討している企業においても、有益な情報になりますので、是非参考にしてみてください。
1,日本人労働者と同等の待遇であること
特定技能制度においては、「日本人労働者と同等以上の待遇」を提供することが大前提です。この点は、受入れ前の在留資格許可申請においても非常に重要視されます。企業が外国人労働者を雇用する際には、この基準が厳しくチェックされるため、注意が必要です。また、受入れ時の申請プロセスについては、別の記事で詳しく解説していますので、そちらも合わせて参照していただくと良いでしょう。
外国人労働者への差別的な扱いは許されません。特に給与に関しては、同じ経験年数を持つ日本人労働者と比較して、同等以上の待遇を保証する必要があります。この基準は、公正かつ平等な職場環境を守るために重要です。外国人であるという理由で給与を減額することは、法的にも倫理的にも許されない行為とされています。
2,在留資格の範囲内での活動
在留資格は、特定の活動範囲を設定しています。例えば、普通自動車免許では大型トラックを運転することはできません。同様に、特定技能1号外国人労働者も、在留資格で許可されている範囲内でのみ活動が可能です。たとえ受入企業の就業規則で副業が認められていたとしても、特定技能1号外国人労働者には副業が許されていないため、副業を行うと不法就労とみなされ、労働者だけでなく雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。不法就労助長罪についての詳細は、下記の記事で解説していますので、是非参考にしてください。
3,在留期限の更新
外国人の在留資格には、定期的な「更新」が必要です。自動車運転免許の更新と同様に、無事故無違反であれば更新手続きはスムーズに進みます。特に、特定技能1号の在留資格は1年ごとの更新が必要で、期限満了日の3か月前から更新申請が可能です。更新手続きを怠ると、オーバーステイ(不法滞在)となり、最悪の場合、強制送還されるリスクがあるため、この点は特に注意が必要です。期限内に適切に手続きを進めることが、問題を避けるために重要です。
4,支援業務
特定技能1号外国人は、手厚い支援を受けて就労することが求められています。受入企業が自社で支援業務を行うことが難しい、または自社の支援要件を満たしていない場合には、登録支援機関への業務委託が必要となります。登録支援機関については、様々な角度からの解説がありますので、それらを参考にしてください。
また、この支援業務は関係省庁や各種協会によって監督されており、支援を怠った場合、指導や改善命令が下されることがあります。最悪の場合、特定技能1号外国人の5年間の受入れ停止となるため、十分な注意が必要です。
5,定期的な届出義務
特定技能1号外国人を雇用する企業は、四半期ごとに出入国在留管理局への定期届出を行わなければなりません。この届出は、受入れ企業自身と、支援業務を委託された登録支援機関の双方から必要とされます。最近では提出書類の手続きが簡略化され、以前に比べて労力は減少しましたが、それでも定期的な届出は手間のかかる作業です。適切に届出を行うことは、法令遵守の観点からも重要であり、怠るとペナルティが課される場合があります。
6,関係機関からの監督調査
特定技能1号外国人を雇用している場合、監督官庁による立ち入り調査が実施されることがあります。私も多くの場合、その調査に同席しています。調査内容には、特定技能1号外国人との面談、給与台帳などの雇用上保管義務のある記録の確認、住居状況のチェックなどが含まれます。立ち入り調査の実施時期は地域や時期によって異なるものの、一般的には受入れ後6カ月から1年以内に実施されることが多いです。これらの調査は、法令遵守を確認し、外国人労働者の適正な扱いが行われているかを監視するためのものです。
7,退職時の支援
特定技能1号外国人が自己都合で退職する場合、転職支援は必ずしも必要ではありません。しかし、人員整理など企業側の事情で解雇する場合(非自発的離職と呼ばれます)、転職支援が義務付けられています。この支援には、ハローワークでの求職活動支援や他の求人情報の提供などが含まれます。非自発的離職の場合、企業は特定技能1号外国人が新たな雇用を見つけるまでのサポートを提供することが求められるため、適切な対応が必要です。
まとめ
特定技能1号外国人の雇用において重要なポイントをご紹介しました。技能実習制度の問題点、如く賃金の未払いやハラスメント問題を背景に、特定技能制度ではより手厚い支援が整備されています。日本の現在の人手不足を考えると、特定技能外国人は非常に貴重な人材と言えるでしょう。
日本企業における昔ながらの体質である「雇ってやってる」という考え方では、外国人を含めた従業員の確保は難しい状況にあります。企業側は、「外国から応援で働きに来てくれている」という感謝の気持ちを持ち、適切な待遇を提供することが求められます。このような意識改革が、国際的な人材を惹きつけ、保持する上で重要です。
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