特定技能外国人の雇用:3つのデメリット

特定技能外国人の雇用:3つのデメリット

2022年7月12日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

特定技能外国人雇用のデメリット

この記事では、これらのデメリットについて、私なりの見解を交えながら詳細に解説していきます。この情報が、特定技能ビザの外国人労働者の雇用を検討している企業や関係者にとって有益な洞察を提供することを目指します。

3つのデメリット

特定技能ビザを持つ外国人労働者を雇用することには、人手不足の解消という大きなメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。

  1. 特定技能外国人の雇用コスト: 外国人労働者の採用には、通訳や研修など追加のコストが発生する場合があります。
  2. 特定技能外国人の転職の自由度: このビザを持つ外国人は転職が認められており、企業は労働者の定着を図るための追加の努力が必要になるかもしれません。
  3. 特定技能制度の煩雑さ: 制度自体が複雑で、企業が正しく理解し運用するには時間とリソースが要求されます。

1、特定技能外国人にかかる雇用コスト

もし自社で特定技能外国人の全面的な支援が可能であれば、登録支援機関に業務を委託する必要はありません。これにより、手間はかかりますが、コスト削減が期待できます。

登録支援機関への業務委託料金は、特定技能外国人1名につき20,000円から30,000円/月が相場です。

ただし、自社で支援を行う場合、「使わなくてよい要件」を満たしている必要があります。これは、企業が一定の基準をクリアしている場合にのみ、登録支援機関の利用を省略できるというものです。ただし、「登録支援機関を使わない」と単独で決めることはできません。

詳しい要件や、自社がこれらの基準を満たしているかどうかの確認方法については、別の記事で解説していますので、ぜひ参照してみてください。

特定技能外国人雇用:登録支援機関に委託しないで支援する方法
こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いで…
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2、特定技能外国人の転職の自由度

特定技能外国人労働者が「転職」を行うことは法的に認められており、各業種が人手不足であることを背景に、多くの転職支援サイトや有料職業紹介事業者が彼らを対象にサービスを提供しています。そのため、外国人労働者が容易に転職活動を行える環境が整っていると言えます。

企業が外国人労働者を採用して研修を行い、仕事に慣れさせた後に突然の転職を告げられると、企業側の損失は確かに大きいです。このような事態を避けるためには、日常のコミュニケーションを重視し、労働者に対して適切な支援を提供することが重要です。

「外国人だから給料を支払っていれば辞めないだろう」という考えは、特定技能外国人を受け入れる姿勢として不適切です。外国人労働者も同様に尊重され、適切な労働環境が提供されるべきです。職場での満足度を高め、彼らが長期的に勤務するための環境を整えることが、企業にとっても利益をもたらします。

3、特定技能制度の煩雑さ

特定技能は煩雑で複雑な制度です。
これは、労働法と入国管理法(入管法)が複雑に絡み合っているためです。通常の日本人雇用では労働基準法、最低賃金法、労働契約法、男女雇用機会均等法などの「労働法」が適用されますが、特定技能外国人の場合、これに加えて入管法が適用されるため、制度の理解がさらに難しくなります。

日本人であれば「労働法」はある程度常識の範囲で理解されますが、入管法に関してはあまり馴染みのない法律であり、特に特定技能外国人を初めて受け入れる企業にとっては理解が進まないことが多いです。私が依頼者に特定技能に関する法令を説明する場面でも、「ピンと来ていない」という反応をしばしば受けます。

例えば、日本人従業員なら臨機応変に部署移動や仕事内容の変更が可能ですが、特定技能外国人の場合、以下のような厳格な条件が必要です:

  • 特定技能業務区分に適合する必要がある。
  • 特定技能試験に合格している必要がある。
  • 仕事の変更ごとに入管への届出が必要。

日本人が部署移動や業務変更をする際に行政への届出が必要ないのとは対照的です。

このような複雑さを理解し、適切に対応するためには、特定技能に特化した行政書士のサポートが不可欠です。私たちの事務所でも特定技能外国人の雇用に関する顧問業務を行っており、必要に応じてご利用いただければと考えています。

まとめ

この記事では、「特定技能の3つのデメリット」を詳しく解説しました。
雇用コストは制度上避けられない部分もありますが、以下の点に取り組むことは雇用する企業の重要な責務です:

  1. 外国人労働者が転職しないように適切な支援を行う:職場でのコミュニケーションを強化し、労働条件や生活面での支援を充実させることが、彼らが安定して働き続けるためには不可欠です。
  2. 特定技能制度の基本を理解する:複雑な制度構造や法的要件を適切に理解し、適用することで、誤解やトラブルの予防が可能となります。

このブログでは、特定技能に関するさまざまな情報を、特定技能を専門とする行政書士が提供しています。特定技能外国人の受け入れを検討されている企業様にとって、これらの情報が非常に有益です。ぜひ、他の記事もご参考になれば幸いです。