特定技能外国人雇用:登録支援機関に委託しないで支援する方法

特定技能外国人雇用:登録支援機関に委託しないで支援する方法

2022年7月5日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

特定技能外国人を登録支援機関に委託しないで支援する方法

技能実習では監理団体(組合)が技能実習生を支援しますが、特定技能については特定技能登録支援機関がその支援の役割を果たします。ただし、受け入れ機関が一定の基準(要件)を満たしている場合は、特定技能登録支援機関を利用する必要はありません。

この記事では、特定技能登録支援機関の委託が必要かどうかを自己診断できる情報を提供しています。

登録支援機関

1.登録支援機関とは

特定技能における登録支援機関の役割を簡潔に説明すると、公平かつ中立的な立場から、特定技能を持つ外国人の支援にあたる機関です。この支援には、職場での支援だけでなく、日常生活や社会でのサポートも含まれます。この点を踏まえた上で、登録支援機関の必要性を検討していくことが重要です。

2.登録支援機関の支援業務

まず、特定技能登録支援機関の業務を列挙しますが、これを全て自社で行うことができるかが問題となります。

事前ガイダンス
出入国の際の送迎
住居確保・生活に必要な契約支援
生活オリエンテーションの実施
公的手続きへの同行
日本語学習機会の提供
相談又は苦情への対応
日本人との交流促進
転職支援
定期的な面談の実施行政機関への通報

3.特定技能登録支援機関への委託の必要性

下記の項目で、全て要件を満たしている場合には、登録支援機関への支援委託をせずに、自社支援として特定技能1号外国人を雇用することができます。下記の項目を順に見ていただき、自社がクリアできるか確認してみてください。

①外国人労働者受入れ経験の有無

㋑事業所において過去2年間に中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績がある
㋺役員又は職員に過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有する者がいる

※文化活動/短期滞在/留学/研修/家族滞在/永住者/日本人配偶者等/永住者の配偶者等/定住者は含まれない。
㋑㋺のどちらかに該当しなければなりません。

②支援責任者や担当者の任命

「担当者」
・常勤役職員であり事業所ごとの選任であること
・直属の上司という縦のラインでないこと 
「責任者」
・常勤でなくてもよい
・支援担当者を監督する立場であること
・直属の上司という縦のラインでないこと 
※支援責任者と支援担当者の兼任は可 

③外国人が十分に理解できる言語で支援

外国人の母国語をネイティブレベルで話さなければならないレベルでなくてもよい。
「想定される場面」
事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談苦情対応、定期面談。
※社外の通訳派遣会社の利用も可。

④事前ガイダンスの実施

「ガイダンスで説明する内容」
・労働条件に関することの説明
・日本できる活動内容の説明
・入国手続きに関することの説明
・保証金や違約金の定めがないことの説明
・自国の機関に費用を支払っている場合は、その額および内訳を十分理解して、当該機関との間で合意している必要があることの説明
・入国した際の送迎を行うことの説明
・支援に要する費用は直接的または間接的に負担させないこととしていることの説明
・住居に係る支援がされることの説明
・仕事、日常生活、社会生活に関する相談または苦情の申し出を受ける体制があることの説明

※日本人支援担当者等が、対面やテレビ電話等で行う。
※母国語での説明が必要である(通訳を同席も可)

⑤特定技能外国人の出入国時に空港等への送迎を行うことができる

※空港からの交通費は徴収してはいけない。

⑥特定技能外国人の住居確保に係る支援

※住む部屋は1人あたり7.5㎡以上を確保する必要があるため、社宅等がない場合には下記の支援が必要となる。

・物件探しの補助や同行の履行義務あり
・賃貸借契約の保証人になるor賃貸保証会社利用の場合はその手数料を受入機関が負担する。
※必ずしも受入機関が住居費用を負担することまでは求められていない。

⑦特定技能外国人への適切な情報提供の支援

「情報提供事項」

㋑日本での生活一般に関する事項
㋺当該外国人が履行しなければならない行政機関への届出(住居地に関する届出・国民健康保険・国民年金手続き・年金の脱退一時金請求の手続き・納税に関する手続きなど)
㋩相談や苦情を対応する者(国や地方公共団体も含む)の連絡先
㊁外国人に対応できる医療機関の情報
㋭防災(防犯)に関する事項。急病や緊急時における対応に必要な事項。
㋬出入国または労働に関する法令の規定に違反していることを知った時の対応方法

⑧生活に必要な契約に関する支援

(例)
・預金口座開設
・携帯電話の契約
・生活に必要な契約(電気・ガス・水道)
※窓口への同行や書類作成の補助を行うこと。

⑨日本語学習の機会を提供

例)日本語教室の入学案内や教材の情報提供
※必ずしも日本語教育学習機関へ通学させなければならないというわけではない。

⑩日本人との交流促進を支援

例)参加できそうな地域のお祭りやボランティア活動を探して申込みの手伝いや同行などの支援

⑪定期的な面談

支援担当者もしくは支援責任者が3ヵ月に1度の頻度で、「その外国人」および「その外国人を監督する立場にある者」と面談する。

⑫特定技能外国人が非自発的離職時に転職支援

※会社が倒産する場合や会社の経営不振により人員整理という場面

㋑所属する業界団体や関連企業等を通じて次の受入先に関する情報を入手し提供する
㋺ハローワークの案内や同行し次の受入れ先を探す補助を行う
㋩当該外国人が円滑に就職活動が行えるように「推薦状」を作成する。
㊁当該外国人が就職活動を行うために必要な有給休暇を付与する
㋭離職時に必要な行政手続について情報提供する。(特定技能在留資格の変更許可申請・失業給付など)
㋬倒産で転職支援ができないと見込まれる場合、当該機関に代わって支援を行う機関を確保できる。

⑬特定技能外国人からの苦情対応と行政への通報

例えば、受入企業側に雇用契約内容に反する行為があった場合、公平中立的な立場で調査し所轄官庁への通報を行わなければなりません。登録支援機関に委託せずに自社で支援責任者や担当者を任命していた場合「内部告発」という捉え方になります。
1号特定技能外国人に対して日本での生活を安定的かつ円滑に行うことができるように支援するためには、適正な職場環境の元での就労が求められ、延いては長期的な就労に繋がることから、公平中立的な支援が求められます。

まとめ

いかがでしたか?
この記事では、特定技能における登録支援機関への委託の有無を診断していただけるような記事としました。特定技能外国人を適切な環境で就労してもらう上で、支援計画は重要であり、必要に応じて登録支援機関の利用を検討しなければなりません。

このブログでは、特定技能を専門とする行政書士が、今後特定技能外国人の受入れを検討される企業様に向けて有益な情報を配信しております。
引き続き、他の記事もチェックしてみてください。

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