外国人ドライバーの受入れが制度上可能となった現在、自動車運送業界では「どの業態から導入すべきか」を慎重に検討する必要があります。
結論からいえば、特定技能1号外国人ドライバーの雇用は、引っ越し業者から始めるのが最も現実的かつ安全です。
本記事では、その理由を制度面・現場運用・リスク管理の観点から詳しく解説します。
目次
特定技能1号外国人ドライバー雇用は引っ越し業者が最適である理由
特定技能1号(自動車運送業分野)では、外国人を単なる「人手不足対策」としてではなく、適切な業務内容・管理体制のもとで就労させることが強く求められます。その点、引っ越し業者は他の運送業態と比較して、制度要件と実務運用の両面で高い適合性を持っています。
日本人スタッフと常に同行するため単独乗務のリスクがない
引っ越し業務の最大の特徴は、必ず複数名で現場対応を行うことです。外国人ドライバーが一人でトラックに乗務し、現場判断や顧客対応を行う場面は基本的にありません。
- 現場責任者(日本人)
- 作業スタッフ(日本人+外国人)
- 外国人ドライバー
という体制が標準であるため、言語面・判断面・トラブル対応は日本人スタッフが担うことができます。
これは、制度上も実務上も非常に安心できるポイントです。
長距離運転がなく事故・労災リスクが比較的低い
引っ越し業務は、宅配便や長距離輸送とは異なり、
- 市内・近距離移動が中心
- 運転時間よりも作業時間が長い
- 深夜・長時間運行が少ない
といった特徴があります。そのため、交通事故や過労によるトラブルが起こりにくく、外国人ドライバーの受入れ初期段階として適した業務内容といえます。
家庭用家財道具の積み下ろしが主で危険性が限定的
取り扱う荷物も、精密機器や危険物ではなく、
- 家具
- 家電
- 生活用品
が中心です。マニュアル化された作業が多く、教育もしやすいため、安全管理を徹底しやすい点も大きなメリットです。
高度な日本語力や専門用語の習得が不要
引っ越し現場では、
- 専門的な運送用語
- 契約内容の説明
- クレーム対応
などは、日本人スタッフが対応します。外国人ドライバーに求められる日本語能力は、
- 挨拶
- 簡単な返事
- 作業指示の理解
程度で足ります。そのため、日本語能力要件が比較的低く、採用・育成のハードルを下げることが可能です。
現場リーダーの指示下で動くため判断ミスが少ない
引っ越し業務は、現場リーダーの指示に基づき、
- 作業順序
- 人員配置
- 安全確認
が明確に決められています。外国人ドライバーが独断で判断する場面は少なく、結果として業務上のミスや顧客トラブルが発生しにくい構造になっています。
2トン車以下が主流で普通免許対応の可能性がある
引っ越し業界では、2トン車以下の車両が中心です。中には普通免許で運転できる車両も多く、
- 外国免許切替後の普通免許
- 日本で取得した普通免許
を前提に、特定技能1号の在留資格申請を検討できるケースがあります。これは、大型免許が必須となる他業態と比べ、制度活用のハードルが低い点といえます。
顧客が外国人を敬遠する可能性への配慮は不可欠
一方で、注意すべき点もあります。一部の顧客、特に
- 女性の単身引っ越し
- 小さな子どもがいる家庭
では、外国人スタッフに不安を感じるケースも想定されます。
そのため、
- 独身男性の引っ越しを中心に担当させる
- 日本人スタッフを必ず前面に出す
- 事前説明を丁寧に行う
など、配車・現場配置の工夫が重要になります。
将来は外国人向け引っ越しサービスという新市場も期待できる
今後、日本国内の外国人居住者はさらに増加していくと予想されます。
そうなれば、
- 外国人向け引っ越し専門サービス
- 母国語対応の引っ越しチーム
といった新たなニーズが生まれる可能性があります。
特定技能1号外国人ドライバーが中心となり、母国語で対応できれば、
外国人顧客にとっては日本人業者以上に安心感のあるサービスとなるでしょう。

特定技能に関するご相談を受付中!
初めてでも安心。専門家がわかりやすく解説!
外国人材の雇用をこれから検討する企業様から、既に特定技能で雇用している企業様まで、幅広く対応いたします。制度の基本解説から在留資格申請、支援業務、トラブル対応まで、実務経験のある行政書士が丁寧にサポート。

