特定技能外国人を自動車運送業分野で受け入れるにあたり、「不許可」や「在留資格の取消し」をいかに防ぐかは、事業者にとって最も重要な実務課題の一つです。
これらは突発的に起こるものではなく、多くの場合、申請前の確認不足や在留後の管理体制の甘さが原因となっています。
ここでは、不許可と取消しの違いを整理したうえで、実務上とくに注意すべきポイントを解説します。
目次
「不許可」と「取消し」は原因とタイミングが異なる
まず理解しておくべき点として、不許可と取消しは発生する場面も原因も異なります。
- 不許可
申請段階で、在留資格の要件を満たしていないと判断された場合に発生 - 取消し
在留資格が許可された後、要件不充足や違反行為が確認された場合に発生
この違いを理解せずに対応すると、同じミスを繰り返すことになりかねません。
不許可を防ぐために申請前に確認すべき点
不許可の多くは、申請前の要件確認不足に起因します。
特に、次の点は実務上見落とされやすいため注意が必要です。
所属機関・外国人本人の要件確認
受入企業および外国人本人が、
- 在留資格ごとの要件
- 分野別運用要領
を満たしていない場合、不許可となる可能性が高くなります。
過去に問題なく許可されたケースであっても、制度や運用は随時見直されるため、申請のたびに最新要件を確認することが不可欠です。
日本人と同等以上の報酬が確保されているか
特定技能や育成就労では、日本人と同等以上の報酬が明確な要件とされています。
給与額だけでなく、手当、残業代の取扱い、労働条件の説明内容に矛盾があると、不許可の原因となります。
形式的に条件を整えるのではなく、実態として同等以上であるかが問われます。
業務内容が在留資格の範囲内か
育成就労や特定技能では、従事できる業務内容が分野ごとに限定されています。
申請書類上の記載と実際の業務内容に乖離がある場合、不許可につながるおそれがあります。
業務内容は、抽象的ではなく、具体的かつ実態に即して説明することが重要です。
在留資格の取消しを防ぐために在留後に注意すべき点
取消しは、在留資格が許可された後の運用段階での管理不足によって発生します。
要件を継続して満たしているか
在留資格は、一度許可されれば安泰というものではありません。
業務内容や就労実態が当初の説明から逸脱していないか、継続的な確認が求められます。
認められていない業務に従事させていないか
現場判断で業務範囲が広がり、
- 在留資格で認められていない業務
- 恒常的な区分外業務
に従事させてしまうケースは少なくありません。
「一時的」「補助的」といった認識でも、実態次第では取消しのリスクがあります。
労務管理が適正に行われているか
労働時間管理や賃金支払などの労務管理の不備は、取消しの直接的な原因となります。
- 長時間労働
- 残業代未払い
- 勤怠・賃金管理資料の不備
これらは、入管による調査や更新審査で必ず確認されるポイントです。
法令違反や資格外行為がないか
在留資格で認められていない行為や、関係法令違反が確認された場合、在留資格の取消しに直結するリスクがあります。
悪意の有無や現場の判断は、基本的に考慮されません。
申請前と在留後の「両輪」で管理することが重要
不許可や取消しの大半は、制度そのものではなく、運用の問題によって発生します。
そのため、
- 申請前:要件・業務内容・労働条件を丁寧に確認する
- 在留後:業務内容や労務管理を定期的に点検する
この「両輪」での管理が、リスク回避の基本となります。
特定技能外国人の受入れは、単なる人材確保ではなく、制度理解と継続的な管理を前提とした雇用です。
不許可や取消しを防ぐためにも、実務レベルでのチェック体制を整えることが、事業者にとって不可欠といえるでしょう。

特定技能に関するご相談を受付中!
初めてでも安心。専門家がわかりやすく解説!
外国人材の雇用をこれから検討する企業様から、既に特定技能で雇用している企業様まで、幅広く対応いたします。制度の基本解説から在留資格申請、支援業務、トラブル対応まで、実務経験のある行政書士が丁寧にサポート。

