こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
技能実習制度と特定技能の今後
2022年11月、日本政府は外国人労働者の受け入れと技能実習制度の適正な運用を目指し、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」を設置しました。2023年5月にはその中間報告書が公開され、6月1日には経団連がこの報告書についての会合を開催しました。
技能実習制度と特定技能制度の在り方に関する中間報告の分析
中間報告書の主な内容
- 日本の人手不足と外国人労働者の役割:日本は深刻な人手不足に直面しており、外国人労働者が経済社会の重要な担い手となっています。
- 技能実習制度の問題点:本来は国際貢献と人材育成を目的としているにもかかわらず、実際には労働力確保の手段として利用されることが多く、制度の目的と実態の乖離が問題視されています。
- 特定技能制度の適正化:深刻な人手不足に対応するため、この制度の適正化が必要とされています。
現行制度の現状と課題
- 技能実習生の状況:2022年度末時点で約32万人の技能実習生が日本に在留しており、その約55%がベトナム人です。しかし、ベトナムからの実習生数は減少傾向にあります。
- 人権侵害の問題:技能実習生は同一企業での実習が前提であり、転籍が困難なため、パワハラやセクハラなどの人権侵害に遭いやすい状況があります。2021年度の失踪者数は7000人、2022年度は9000人を超える見込みです。
- 給与と借金問題:高給の職場を求めて失踪するケースもあり、実習生の約55%が来日のために借金をしているという事実が背景にあります。
今後の展望
有識者会議では、技能実習制度の問題解決に向けた具体的な方策の検討が期待されています。最終報告書は2023年秋に公開される予定であり、企業単独型の技能実習の取り扱いや転籍制限の見直しなどが議論されています。
結論
この中間報告書は、日本が直面する人手不足と外国人労働者の受け入れのバランスを取るための重要な一歩です。技能実習生の人権保護と労働環境の改善、制度の適正化が急務とされており、今後の対策が注目されます。
まとめ
2023年の5月に技能実習制度の見直しが議論されはじめ、ようやく具体的な動きが見え始めましたが、結論には至っていないようです。
私も業務上多くの外国人と接点がある中、この技能実習生に関する問題に直面している外国人も少なくないと同時に、相談を持ち掛けられることもあります。
特に
給料の未払い
ハラスメント行為(パワハラ)
が目立ちます。
このような被害を受けた技能実習生が、失踪後に支援する団体的なものも存在し、私の元にも相談がありました。そこはお寺だったのですが、彼らを住まわせ生活のめんどうをみているという状況でした。中には在留期限が切れてしまい、不法滞在状態となっている実習生もいると伺いました。
この件についての良し悪しは別として、やはり制度自体の見直しと改善が急務だと考えます。