特定技能の造船・舶用工業分野で雇用する場合の解説

特定技能の造船・舶用工業分野で雇用する場合の解説

2022年6月30日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

特定技能の造船・舶用工業分野で雇用する場合の要件

この記事では、特定技能外国人を造船・舶用工業分野で雇用する方法について解説していきます。

この分野での注意点は、

業 務 区 分
(従事させる仕事内容)

が細かく分かれていることです。
その点に注意しながら読み進めてください。

1、主となる業務

下記の表に当てはまる業務に従事させることができます。
なお、特定技能外国人は、従事する業務の試験に合格していることが前提となります。

業務区分              業務内容
溶接手溶接,半自動溶接
塗装金属塗装作業,噴霧塗装作業
鉄工構造物鉄工作業
仕上げ治工具仕上げ作業,金型仕上げ作業,機械組立仕上げ作業
機械加工普通施盤作業,数値制御施盤作業,フライス盤作業,マシニングセンタ作業
電子機器組立て回転電気組立て作業,変圧器組立て作業,配電盤・制御盤組立て作業,開閉制御器具組立て作業,回転電気巻線製作作業

2、従事させてよい関連業務

読図作業
作業工程管理
検査(外観,寸法,材質,強度,非破壊,耐圧気密等)
機器・装置・工具の保守管理
機器・装置・運搬機の運転
資材の材料管理・配置
部品・製品の養生
足場の組立て・解体
梱包・出荷
入出渠
清掃
資材・部品・製品の運搬
廃材処理

当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務

※専ら関連業務に従事することは認められません。
(関連業務のみさせることはダメということです)

3、雇用する企業側の条件

造船法第6条第1項の事業を営む者,小型船造船業法第2条第1項に規定する小型船造船業を営む者その他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること。
注意
※在留諸申請を行う前に造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であることについて,国土交通省の事前確認を受ける必要があります。

事前確認に関する情報→こちら

4、雇用形態

フルタイムでの直接雇用のみ認められます。
(フルタイム)
・労働日数が週5日以上
・年間217日以上
・週労働時間が30時間以上

※アルバイトやパート、または派遣形態での雇用は認められません。

5、合格が必要な試験

①技能試験

造船・舶用工業分野特定技能1号評価試験(※業務区分ごとに合格が必要な技能試験が違います)
試験実施団体:一般財団法人日本海事協会 (こちら

②日本語試験

「日本語能力試験(JLPT)※N4以上」(こちら

もしくは

「国際交流基金日本語基礎テスト」(こちら

6、技能実習から移行の場合

例えば、技能実習で「塗装」の職種に従事していて、その作業が「金属塗装」であれば、技能試験なしで特定技能への移行が可能ということです。

特定技能業務区分  技能実習での職種    技能実習での作業 
溶接溶接手溶接
半自動溶接
塗装塗装金属塗装
噴霧塗装
鉄工鉄工 構造物鉄工
仕上げ仕上げ治工具仕上げ
金型仕上げ
機械組立仕上げ
機械加工機械加工普通旋盤
フライス盤
数値制御旋盤
マシニングセンタ
電気機器組立て電気機器組立て回転電機組立て
変圧器組立て
配電盤・制御盤組立て
開閉制御器具組立て
回転電機巻線製作

※他の職種で技能実習2号を終了し特定技能へ移行する場合

技能試験:合格が必要

日本語試験:免除

7、協議会への加入

初めて特定技能外国人を雇用する場合、「受入れた日から4カ月以内」に協議会への加入が必要です。

「問い合わせ先」
国土交通省海事局船舶産業課
電話:03-5253-8634
ホームページ→こちら
加入方法 :申請書の郵送
加入費用: 不要(2022年4月現在)

まとめ

いかがでしたか?
造船・舶用工業分野において、特定技能外国人を雇用するにあたり

受入れる企業の業務区分をしっかり確認する

従事させる業務ごとに試験が異なる

が注意点となります。

なお、記事中にもありましたように、特定技能外国人を雇用するにあたり、受入れる企業側にも

不法就労助長罪

という厳しい罰則が設けられており、「知らなかった」では済まされません。

このようなことに注意しながら慎重に雇用準備を進めていきましょう。