特定技能(飲食料品製造業)で雇用する場合の要件

特定技能(飲食料品製造業)で雇用する場合の要件

2022年6月21日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

この記事では、特定技能外国人を飲食料品製造業分野で雇用する方法について解説していきます。

この分野での注意点は、

製造と小売が一体となる店舗

において、その可否が細かく決められていることです。
その点に注意しながら読み進めてください。

1、主となる業務

飲食料品製造業全般の製造・加工,安全衛生

製造・加工
原料の処理,加熱,殺菌,成形,乾燥等の一連の生産行為等に従事させなければなりません。

安全衛生
使用する機械に係る安全確認,作業者の衛生管理等,業務上の安全衛生及び食品衛生の確保に係る業務に従事させなければなりません。

2、従事させてよい関連業務

当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務

例えば、原材料の調達、受入 、製品の納品 、清掃、管理作業といった関連する業務は行うことができます。

※専ら関連業務に従事することは認められません。
(関連業務のみさせることはダメということです)

3、雇用する企業側の条件

飲食料品製造業分野の場合、雇用する企業側の業種を正確に特定しなければなりません。

主として・・・
※直近の売上高によって決定します。

・食料品製造業(中分類09)
・清涼飲料製造業(小分類101)
・茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く) (小分類103)
・製氷業(小分類104)
・菓子小売業(製造小売)(細分類5861)
・パン小売業(製造小売) (細分類5863)
・豆腐・かまぼこ等加工食品小売業 (細分類5897)

上記に該当するかは、事前確認が必要となります!

【注意】
なお、以下の分野では、飲食料品製造業として特定技能外国人を雇用することはできません。
・酒類製造業
・塩製造業
・医薬品製造業
・香料製造業
・飲食料品卸売業
・飲食料品小売業(ただし、菓子小売業・パン小売業・豆腐かまぼこ加工食品小売業な除く)

「確認の方法と手順」

①日本標準産業分類(こちら
②「E製造」をクリック
③中分類→細分類で確認

または

農林水産省食料産業局(食品製造課)に電話して確認しましょう。
TEL 03-3502-8111(内線4162)
これで特定技能外国人を受入れることができる産業分野なのかが特定できます。

ちなみに、この産業分野に該当しないにも関わらず特定技能外国人を雇用し業務に従事させ続けると、事業所要件を満たしていないことに係る認識・認容が特定技能外国人になかったとしても

不法就労助長罪
(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)

が成立します。
これは過失の有無にもよりますが、注意が必要です。

4、雇用形態

フルタイムでの直接雇用のみ認められます。
(フルタイム)
・労働日数が週5日以上
・年間217日以上
・週労働時間が30時間以上

※アルバイトやパート、または派遣形態での雇用は認められません。

5、合格が必要な試験

①技能試験

飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験 (※業務区分ごとに合格が必要な技能試験が違います)
試験実施団体:(一社)外国人食品産業技能評価機構(こちら

②日本語試験

「日本語能力試験(JLPT)※N4以上」(こちら

もしくは

「国際交流基金日本語基礎テスト」(こちら

6、技能実習から移行の場合

例えば、技能実習で「ハム・ソーセージ・ベーコン製造」の職種に従事していて、その作業が「 ハム・ソーセージ・ベーコン製造」であれば、技能試験なしで特定技能への移行が可能ということです。

  技能実習での職種     技能実習での作業 
缶詰巻締缶詰巻締
食鳥処理加工業食鳥処理加工業
 加熱性水産加工食品製造業節類製造
加熱乾製品製造
調味加工品製造
くん製品製造
非加熱性水産加工食品製造業塩蔵品製造
乾製品製造
発酵食品製造
水産練り製品製造かまぼこ製品製造
牛豚食肉処理加工業牛豚部分肉製造
ハム・ソーセージ・ベーコン製造ハム・ソーセージ・ベーコン製造
パン製造パン製造
そう菜製造業そう菜加工
農産物漬物製造業農産物漬物製造

※他の職種で技能実習2号を終了し特定技能へ移行する場合

技能試験:合格が必要

日本語試験:免除

7、協議会への加入

初めて特定技能外国人を雇用する場合、「受入れから4カ月以内」に協議会への加入が必要です。

「問い合わせ先」
農林水産省食料産業局食品製造課(こちら
加入方法 :ホームページから加入できる
加入費用: 不要(2022年4月現在)

8、特定技能外国人雇用できる?できない?

1、プロセスセンター

特定技能解説1

プロセスセンターとは、飲食料品卸売業者や飲食料品小売業者の専用工場のことです。
最終的には飲食料品小売店での販売ではあるものの、飲食料品の専用工場での食品加工に関する業務ならOKです。

2、セントラルキッチン

特定技能解説1

セントラルキッチンとは、食品の調理工程を集中させ、効率化を果たす調理施設のことです。飲食店・病院・学校・福祉施設など複数の提供先の調理を集中的に、大量に調理をする集中調理施設です。このような施設でも特定技能外国人を従事させることは可能です。

3、スーパーマーケット

特定技能解説バツ

スーパーマーケットのバックヤード等で、食料品(魚・肉・惣菜など)の製造や加工を行う場合において、特定技能外国人を従事させることはできません。その理由として、本来スーパーマーケットは、主要な経済活動が飲食料品の製造・加工ではないためです。

まとめ

いかがでしたか?
飲食料品製造業分野において、特定技能外国人を雇用するにあたり

受入れる企業の業種をしっかり確認する

どの施設で業務するのかで可否が異なる

が注意点となります。

なお、記事中にもありましたように、特定技能外国人を雇用するにあたり、受入れる企業側にも

不法就労助長罪

という厳しい罰則が設けられており、「知らなかった」では済まされません。

このようなことに注意しながら慎重に雇用準備を進めていきましょう。