ドライバー不足が深刻化する中、運送業界では外国人材の活用が注目されています。その中心となる制度が「特定技能」です。
特定技能制度は2019年に創設された制度ですが、自動車運送業分野については2024年に対象分野へ追加されました。これにより、トラック・バス・タクシーといった運送業においても、一定の要件を満たした外国人ドライバーの受入れが可能になっています。
この記事では、特定技能制度の基本的な仕組みと、自動車運送業分野における業務区分や受入れ要件について分かりやすく解説します。
目次
特定技能制度とは
特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能や専門性を持つ外国人材を受け入れることを目的とした在留資格制度です。2019年に創設され、現在では複数の産業分野で活用されています。
自動車運送業分野は2024年に対象分野として追加され、外国人ドライバーの受入れが制度上可能となりました。
特定技能には「1号」と「2号」の2種類がありますが、自動車運送業分野では、現時点では特定技能1号のみが対象となっています。
特定技能1号の主な特徴は次のとおりです。
- 在留期間は4か月・6か月・1年ごとの更新
- 通算の在留期間は最長5年
- 家族の帯同は原則認められていない
- 受入れ企業との直接雇用が必要
- 日本人と同等以上の報酬が求められる
この制度は、実務的には「一定期間働く外国人の契約社員制度」と考えると理解しやすいでしょう。
特定技能外国人ドライバーの業務区分
日本人ドライバーの場合、担当する業務内容は基本的に企業の判断で決めることができます。しかし特定技能外国人については、在留資格制度の関係から、従事できる業務があらかじめ定められています。
これを「業務区分」といいます。
自動車運送業分野では、主に次の3つの職種が対象となります。
- トラック運転者
- バス運転者
- タクシー運転者
それぞれの業務では、運転業務のほかに関連する作業も行うことができます。
例えばトラック運転者の場合、運行業務や荷役業務に加え、車両清掃や営業所内清掃など、運転業務に関連する作業が付随業務として認められています。
ただし、ここでいう付随業務は「運転業務に密接に関連するもの」に限られます。単なる雑務や補助作業を中心に担当させることは制度上認められていないため注意が必要です。
外国人ドライバーを受け入れる企業の要件
特定技能外国人を雇用する場合、日本人の採用と異なり、企業が自由に採用できるわけではありません。受入れ企業と外国人本人の双方が、制度上の要件を満たす必要があります。
まず受入れ企業側には、次のような条件が求められます。
主な要件としては以下のようなものがあります。
- 過去5年以内に重大な法令違反がない
- 日本人と同等以上の賃金・労働条件で雇用する
- 外国人を直接雇用する
- 生活支援体制を整備している
- 自動車運送事業を適法に運営している
- 特定技能協議会に参加している
さらに、自動車運送業分野では次のような分野特有の要件もあります。
- Gマークなどの安全性評価を取得している
- 特定技能外国人に対して新任運転者研修を実施している
これらの要件は、在留資格の申請時だけでなく、雇用期間中も継続して満たしている必要があります。もし途中で要件を満たさなくなった場合、在留資格の更新が認められない可能性があります。
外国人ドライバー本人に求められる要件
特定技能1号で自動車運送業に従事するためには、外国人本人にも一定の条件があります。
主な要件としては次のようなものが挙げられます。
- 18歳以上であること
- 特定技能評価試験に合格していること
- 業務に支障のない健康状態であること
- 日本の法令を遵守していること
また、ドライバーとして働くためには、日本語能力も求められます。
トラック運転者の場合は、日本語能力試験N4以上、または日本語基礎テストの合格が必要とされています。バスやタクシーの場合は、より高いコミュニケーション能力が求められるため、日本語能力試験N3以上が必要になります。
さらに、最も重要な要件の一つが「運転免許」です。
トラック運転者の場合は該当する運転免許を取得する必要があり、バスやタクシーの場合には第二種運転免許の取得が求められます。
在留資格変更の場合の注意点
すでに日本に在留している外国人が、留学や家族滞在などの在留資格から特定技能へ変更するケースもあります。
この場合、入管審査では技能や日本語能力だけでなく、次のような点も確認されます。
- 健康保険
- 年金保険
- 住民税
これらの社会保険料や税金に未納がある場合、在留資格変更が認められないことがあります。そのため、特定技能への移行を検討している外国人については、事前に納付状況を確認しておくことが重要です。
特定技能制度を理解することが外国人ドライバー受入れの第一歩
自動車運送業分野で外国人ドライバーを受け入れるためには、特定技能制度の仕組みを正しく理解することが重要です。
制度には、企業側の要件と外国人本人の要件の両方があり、どちらか一方でも条件を満たしていない場合には在留資格は許可されません。
外国人材の活用は、今後の運送業界における人材確保の重要な選択肢の一つです。制度の内容を理解したうえで、計画的に受入れを検討していくことが求められます。

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