委託料の削減のために自社で支援できる?:特定技能トラック運送業│運送業で外国人雇用(自動車運送業分野)

委託料の削減のために自社で支援できる?:特定技能トラック運送業│運送業で外国人雇用(自動車運送業分野)

特定技能外国人を受け入れている自動車運送業の事業者から、「登録支援機関への委託料を抑えるために、自社で支援できませんか?」という相談は非常に多く寄せられます。

結論から言えば、一定の要件を満たせば自社支援は可能です。ただし、単なるコスト削減目的で安易に切り替えると、制度違反や運用破綻につながるリスクもあります。
ここでは、自動車運送業分野における特定技能外国人の「自社支援」について、実務上のポイントを解説します。

委託料削減のために自社で支援することは可能か

特定技能1号の支援については、登録支援機関へ委託せず、受入れ企業(特定技能所属機関)が自社で実施することも制度上は認められています。ただし、自社支援は「委託しなくてもよい」という自由な選択ではありません。法令で定められた義務的支援をすべて、適切に実施できる体制があることが前提となっています。

そのため、
「委託料が高いから自社でやりたい」
「できるところだけ社内で対応したい」
といった理由だけでは、自社支援は認められません。

自社支援を行うための基本的な考え方

自社支援は、登録支援機関に外注していた業務を、すべて自社で引き受ける仕組みです。
費用面のメリットがある一方で、人的・事務的負担は確実に増加します。

特に自動車運送業分野では、
・シフト制・夜間勤務
・長距離運行
・管理者の業務多忙
といった事情があり、支援業務の継続性が課題になりやすい点は注意が必要です。

自社支援を行うための主な要件

支援責任者・支援担当者の選任

受入れ企業の役員または職員の中から、
支援責任者 と 支援担当者 を選任する必要があります。
なお、支援責任者が支援担当者を兼ねることも可能です。

外国人受入れ・支援に関する実績または経験

支援責任者および支援担当者には、次のいずれかが求められます。

過去2年以内に、中長期在留外国人の受入れ・雇用管理を適正に行った実績
・中長期在留外国人に対する生活相談等の支援業務に従事した経験

単に「社内に外国人がいる」だけでは足りず、適正な管理・支援の実績が問われる点が重要です。

義務的支援をすべて実施できる体制があること

特定技能1号では、法律で定められた義務的支援(10項目)を漏れなく実施する必要があります。

具体的には、
・生活オリエンテーション
・住居・行政手続に関する支援
・相談・苦情への対応
・日本語学習の機会提供
・定期的な面談の実施
などが含まれます。

「一部だけ自社で行う」「忙しい時期は後回しにする」といった運用は認められていません。

支援記録の作成・保管体制が整っていること

支援を実施した事実は、必ず記録として残し、適切に保管する必要があります。

・いつ
・誰が
・どのような支援を行ったか

を説明できる体制がなければ、形式的に支援をしていても問題になる可能性があります。

中立的な相談対応ができ、欠格事由に該当しないこと

支援責任者・支援担当者は、外国人からの相談や苦情に対し、
中立的な立場で対応できることが求められます。
また、法令で定められた欠格事由に該当しないことも条件です。

自社支援のメリットとデメリット

自社支援のメリット

・登録支援機関への委託費用を抑えられる
・自社の運行体制や職場環境を踏まえた柔軟な対応ができる

自社支援のデメリット

・担当者の業務負担が大きくなる
・夜間・休日対応が必要になる場合がある
・担当者の異動や退職で支援体制が崩れやすい

特に自動車運送業では、「継続的対応」が最大の判断ポイントになります。

自動車運送業分野で特に注意すべき点

自動車運送業分野では、勤務形態の特殊性から、
・定期面談の時間確保
・行政手続同行の人員確保
・相談窓口の実効性
が課題になりやすい傾向があります。

制度上可能であっても、実務として無理がないかを事前に検討することが重要です。

まとめ|自社支援は「コスト」ではなく「体制」で判断する

特定技能外国人の自社支援は、要件を満たせば可能です。しかし、単なる委託料削減を目的とした選択ではなく、

・義務的支援を継続して実施できるか
・社内に適任者と時間的余裕があるか
・記録・管理を含めた運用が回るか

といった体制面を基準に判断することが不可欠です。

自社支援が難しい場合には、登録支援機関への委託を含めた現実的な運用方法を検討することが、結果的にリスクを抑える近道になります。

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