特定技能トラック運送業:研修時の対応方法│特定技能×運送業│解説ブログ

特定技能トラック運送業:研修時の対応方法│特定技能×運送業│解説ブログ

記事の内容:特定技能におけるトラック運送業分野で、特定技能外国人が技能研修を受講する際の問題点とその解決方法について解説しています。運送会社が定期的に行う社内安全研修や、業務遂行に必要なフォークリフト講習を受講する際の課題とその対策をわかりやすく説明しています。


こんにちは。トラックドライバー歴18年で、現在は特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

運送会社では、安全や業務に関連する社内研修や外部研修を定期的に行っています。私自身も、トラックドライバーとして勤務していた時期に、土曜日に開催される安全研修によく参加していた記憶があります。

日本人トラックドライバーであれば、これらの研修に参加する際に特に問題はありませんが、特定技能を持つ外国人ドライバーが参加する際にはいくつかの課題が予想されます。ここでは、そうした研修における外国人ドライバーが直面する可能性のある問題と、それらの問題に対する解決策を詳しく説明します。

特定技能トラック運送業:研修時の言語対策

特定技能1号の外国人トラックドライバーは、日本語能力試験(JLPT)N4以上の資格を持っています。N4レベルでは基本的な挨拶や簡単な日常会話が可能ですが、その日本語能力には個人差があり、ある者は簡単な会話のみ、またある者は冗談が言えるほど流暢に話すことができる者もいます。

この多様な日本語能力を持つ外国人ドライバーを日本人ドライバーと同じ研修に参加させると、内容の完全な理解が難しく、同時に日本人従業員からの不平不満が発生する可能性もあります。この問題に対する解決策として、次の3つの方法を提案します。

1,個別に研修を行う
2,通訳人を同席させる
3,通訳アプリの活用

特に「1,個別に研修を行う」方法が現実的かと思われます。
安全研修などでは、日本人ドライバーはこれまで何度も参加しており、基本的な内容は常識的なこととして既に理解しているため、どちらかといえば安全に対する意識の向上が目的である意味合いが強いかと思います。一方で、特定技能の外国人ドライバーは、自国と日本との安全に対する意識と規範の違いに対応するため、個別の時間を設けてしっかりとした知識を身につけ、安全意識の向上を目指す必要があります。また、事故を起こした際に会社与える損害についても理解させておく必要があります。研修担当者は、二度手間となってしまい時間と労力が増えることになりますが、荷物事故と交通事故防止のためには非常に重要です。

特定技能トラック運送業:研修用配布資料の言語対策

運送会社の安全や業務に関連する研修で用いる資料は、もちろん日本語で記載されています。日本人であれば、その資料内の漢字を読めなくても文章の全体的なニュアンスで内容を理解することが可能ですが、外国人にとってはそれが難しい場合があります。例えば、日本に長く住むベテラン外国人でさえ「漢字が苦手と感じることが多い」と、よく耳にします。

そのようなことから、現在運送会社がトラックドライバー従業員に向けて配布している研修資料は、特定技能外国人にとってほとんど理解不可能である可能性が高いです。この課題に対する解決策として、以下の二つの方法が考えられます。

1,資料を母国語に翻訳して配布する。
2,翻訳アプリを使用しながら研修に参加させる。

特定技能トラックドライバーが研修に積極的に参加し、内容をより深く理解するためには、研修資料をその母国語に翻訳して配布することが望ましいです。翻訳作業については、資料のテキストをコピーし、Google翻訳などのサービスで言語を変換してペーストする方法が効率的であり、それほど多くの労力を要しません。このアプローチにより、全ての参加者が研修の目的と内容を正確に理解し、安全と効率の向上に寄与することができます。

まとめ

今回は、特定技能外国人トラックドライバーが運送会社での研修に参加する際に生じる問題点に焦点を当て、それに対する解決策を探求しました。

トラック運送業界は深刻な人手不足に直面しており、外国人労働者の力を借りなければ業務を維持することが難しいといっても過言ではない現状です。そのような深刻な状況の中、特定技能外国人を受入れ、「これまでのように1カ月間横乗りさせれば何とかなるだろう」といった安易な研修では、適切な雇用はおろか、重大な事故へと繋がるリスクも多大に想定されます。

言語の壁や文化的な違いからくる課題に対しては、研修資料の多言語化や個別研修の実施など、より詳細かつ具体的な対応が求められます。これらの対策を施すことにより、外国人ドライバーが研修内容をしっかりと理解し、安全かつ効率的に業務を遂行できるようにすることが、雇用の成功に繋がります。

トラック運送業において命に関わるリスクを伴うため、細かい配慮と適切な研修が不可欠です。今後も、研修方法の改善や外国人ドライバーへのサポート強化を通じて、業界全体の安全性と効率を高めていくことが重要です。