特定技能トラック運送業:雇用コスト│運送会社で外国人ドライバー雇用

特定技能トラック運送業:雇用コスト│運送会社で外国人ドライバー雇用

2024年5月5日

こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能(トラック運送業)の制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。

特定技能トラックドライバーの雇用コスト

運送会社で実際に特定技能1号外国人をトラックドライバーとして雇用した際にかかる雇用コストを具体的に解説した記事となります。

給与

特定技能1号で働く外国人スタッフに支払う給与は、基本的に「日本人と同等以上」という規定に基づいています。たとえば、トラックドライバーとして2年の経験がある特定技能1号の外国人を新たに雇用する際には、同じく約2年の経験を持つ社内の日本人正社員ドライバーの給与を基準にして給与額を決定する必要があります。さらに、在留資格の申請時には、出入国在留管理局がこの日本人従業員との給与比較を厳しく審査されます。

社会保険関係

特定技能1号の外国人を雇用する場合、まず重要な前提として正社員としての正規雇用が求められます。これにより、健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への加入が必須となります。

また、「母国に帰国する予定だから年金には加入しなくてもいいのでは?」という質問が寄せられますが、特定技能に限らず、日本で働く全ての外国人は国民年金か厚生年金のいずれかに加入する義務があります。この義務を怠ると、在留資格の更新が許可されない可能性が高くなることもあります。

住居

特定技能1号外国人をトラックドライバーとして雇用するにあたり、そのコストとして考えられるのが住居です。これは必ずしも所属機関(雇用する運送会社)が、社宅や寮を提供しなければならないというわけではありません。ちなみに当事務所が登録支援機関として支援している特定技能1号外国人の中には、自分で賃貸物件を借りて住んでいる者もいれば、会社の寮を利用しているケースもあります。

「会社の寮を提供する場合」
・特定技能1号外国人から家賃や光熱費を給与から差し引いてもOK。ただし、適正な金額でなければなりません。
・特定技能1号外国人が住む居室は、一人あたり7.5平方メートル以上の広さを確保しなければなりません。
「賃貸住宅の場合」
・必ずしも会社が賃貸借契約をしなければならないというわけではありません。
・特定技能1号外国人が、賃貸借契約を断られた場合には、会社が代わりに契約することも考えられます。

一時帰国

特定技能1号外国人がトラックドライバーとして働く中、母国への一時帰国を希望することもあります。その場合の費用負担ですが、原則として特定技能外国人本人が負担することになります。 これには、往復の航空券費用やその他の一時帰国に関連する費用が含まれます。この点は、日本人労働者が、里帰りで帰省するのと同じような捉え方でよいでしょう。ただし、空港と自宅間の送迎は義務的支援となっていることに注意が必要です。

登録支援機関への支援委託料

特定技能1号外国人をトラックドライバーとして雇用するにあたり、多くの費用が掛かるのが「支援委託料」で、これは登録支援機関へ支援の委託をした場合に発生する費用となります。
なお、登録支援機関については、下記の記事でわかりやすく解説していますので、是非参考にしてください。

特定技能外国人雇用:登録支援機関に委託しないで支援する方法
こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いで…
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自社支援の要件を満たしておらず、登録支援機関への支援委託の場合は、平均¥25,000/月となります。これは特定技能1号外国人1人あたりの金額となるため、この費用が通常の日本人従業員より割高になります。

なお、弊所の登録支援機関の委託においてもこのような金額で承っており、法務顧問も兼ねて支援業務を実施し、時には1事業所で複数名の委託の場合は、割引してご対応させていただいております。

なお、登録支援機関については、いくつか記事を公開していますので、是非ご参考にしてみてください。

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在留資格申請にかかる費用

特定技能に関係なく、日本在住の外国人は帰化しない限り在留資格を取得しなければなりません。この在留資格については、理解が進むように下記の記事にてわかりやすく解説していますので、是非参考にしてみてください。

特定技能外国人の雇用:在留資格(ビザ)の基本解説
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「特定技能外国人の在留資格にかかる費用」

(手数料)

  • 申請手数料(海外から呼寄せ)¥0
  • 更新手数料(1年毎)¥4,000

(専門家への依頼)
※弊所の場合

  • 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼寄せ)¥120,000~
  • 在留資格変更許可申請(日本在住の外国人)¥120,000~
  • 在留資格期限更新申請(1年毎)¥30,000~

なお、この在留資格の申請にかかる費用に関しては、特定技能1号外国人個人が負担しても差し支えありませんが、大半は所属機関(受入企業)が負担しているように見受けられます。

在留資格申請費用損失を防ぐための対策

私が特定技能に関する多くのご相談を受ける中、よくある受入れ企業側の不安として「退職された場合の損失」が挙げられます。毎月発生する社会保険料等は日本人と同じような考え方でよいのですが、在留資格の申請にかかる費用を企業側が負担した場合に、早期退職されてしまったら企業側の損失に繋がります。

そこで、下記のような対策が効果的かと思います。

  • 在留資格取得時は外国人本人に負担してもらう
  • 在留資格所得時にかかった費用を1年後に「特別手当」として支給する
  • 1年毎の更新にかかる費用については外国人本人に負担してもらう

このような対策を講じることで、在留資格に関する企業の損失を抑えることができます。

まとめ

いかがでしたか。
今回はトラック運送業で特定技能1号外国人を雇用する場合の費用について解説してみました。

建設業等では技能実習生の受入での雇用コストに対しての理解が進んでいるため、登録支援機関への委託料に関しても、それほど抵抗が感じられなかったりしますが、トラック運送業に関しては、抵抗を感じる運送会社も少なくないことでしょう。

しかしながら、人手不足で車両が稼働せず会社の業績が悪化の一途を辿るという事態を想定すると、制度を理解したうえで、この特定技能制度を有効活用し、上手く外国人を雇用していかなければなりません。

ここまでお読みいただきありがとうございました。特定技能1号(トラック運送業)外国人の雇用に向けて、是非他の記事も参考にしていただけると幸いです。

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