こんにちは。特定技能を専門とする行政書士の長井です。
今回も特定技能制度について、ご理解が進むよう簡潔に解説していきますので、最後までご一読いただけましたら幸いです。
目次
優良な登録支援機関の探し方
特定技能外国人を雇用する際に重要な役割を担う「登録支援機関」ですが、全ての機関が必ずしも委託された内容を適切に実行しているわけではありません。そこで、失敗しない登録支援機関の選び方を、実態と具体的な方法を踏まえてわかりやすく解説します。
1、支援業務の考え方
特定技能制度では、「受入れた後は働かせとけばいい」という考え方は適切ではありません。この制度は、基本的に人手不足解消のために外国人労働者を日本に招き、その貢献を得ることを目的としています。そのため、「丁重にもてなす=支援」という考え方が求められます。これは、特定技能外国人が日本で安心して生活し、働くためのサポートを充実させることを意味します。
この制度においては、受入れ後の届出が多く必要とされ、行政機関による巡回見回りや指導も行われます。これは他の就労系ビザと比べても特に厳しいもので、支援機関の業務が常に監視されていると言っても過言ではありません。行政機関は、特定技能労働者が適切なサポートを受けているかを確認するために、支援機関の業務をしっかりと見張っています。
この背景を理解した上で、下記の記事を読み進めることが重要です。これにより、特定技能制度の深い理解と、適切な受入れ体制の構築に役立てることができます。特定技能外国人を受け入れる企業は、単に労働力としてではなく、大切な人材として適切にサポートする責任があります。
2、評判の悪い登録支援機関
評判の悪い登録支援機関について説明すると、これらの機関は支援業務を委託されているにも関わらず、必要な業務を適切に実行していないことが多いです。具体的には以下のような問題が挙げられます。
- 定期面談を行わない: 労働者の現状や問題点を確認し、適切な対応を行うための重要な機会であるにもかかわらず、これを怠っていることがあります。
- 日本語学習の支援を提供しない: 特定技能外国人が日本社会や職場でスムーズに適応するためには、日本語能力の向上が必須ですが、この支援を行っていない機関もあります。
- 入管への定期届出を怠る: 法的な義務である入管への届出を行わないことで、労働者の在留資格に影響を及ぼす可能性があります。
- 担当者への連絡が困難: 労働者や企業がサポートを必要とした時に、連絡がつかないという問題が発生しています。
- 特定技能外国人が理解できる言語での対応不足: 労働者が理解できる言語でのサポートが不十分で、コミュニケーションの障壁が生じています。
これらの問題は、特定技能外国人の生活と仕事の質に直接影響を及ぼし、結果として彼らの日本での定着や満足度を大きく損なうことになります。登録支援機関を選定する際には、これらの点を念頭に置き、評判や実績をしっかりと確認することが重要です。
3、義務的支援を怠った場合の罰則
特定技能における義務的支援を怠ることは、非常に重大な法的責任を伴います。この状況は、不法就労助長罪に該当する可能性があります。この罪には、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。
なぜこれが「不法就労」と見なされるのでしょうか? 本質的には、特定技能外国人が適切な労働環境やサポートを受けずに働いている場合、その就労状態が法的に認められた枠組みを超えていると見なされるからです。その結果、登録支援機関や受入企業がこのような状況を放置または助長している場合、彼らは不法就労を助長していると判断されます。
不法就労助長罪は、単に違法な雇用に留まらず、特定技能外国人の適切な管理やサポートが行われていない状況を放置することも含まれます。これにより、受入企業や登録支援機関が厳しい刑事罰の対象となる可能性があります。
下記の記事では、不法就労助長罪についてさらに詳しく解説しています。受入企業や登録支援機関の担当者は、この情報をしっかりと理解し、適切な対策を講じることが求められます。是非、詳細をご確認ください。この知識が特定技能制度の適正な運用に寄与し、重大な法的リスクを避ける助けとなるでしょう。
4、登録支援機関の選び方3つのポイント
①適切な業務委託契約を交わす
選ぶ際の「登録支援機関の選び方3つのポイント」をご紹介します。適切な支援機関を選定することは、特定技能外国人の成功した受け入れにとって非常に重要です。
1,適切な業務委託契約を交わす
- 特定技能の入管申請に必要な様式があるものの、それだけでは不十分です。契約書には以下のような詳細を盛り込むことを推奨します。
- 債務不履行の際の契約解除条項
- 損害賠償に関する条項
- 具体的な定期面談の日時(例: 奇数月の第二月曜日)
- 担当者の氏名
- 連絡先と連絡手段
- 契約期間の設定も重要で、初めて委託する場合は契約更新期間を短く設定し、様子を見ることをおすすめします。
2,公証役場による契約書の認証
- 特に大人数の特定技能外国人を受け入れる場合は、契約書を公証役場に提出して法的効力を持たせることが重要です。これにより、契約がより確実に履行されるようになります。
②評判の良い機関を探す
介護施設などで特定技能外国人を受け入れる際には、同業他社や同じ所属団体に属する施設から情報を得ることも非常に有効です。実際に特定技能外国人を受け入れている施設が登録支援機関に業務を委託している場合、その機関の対応やサポートの質について直接フィードバックを得ることができます。
以下のような方法で、登録支援機関の評価を行うことができます:
近隣施設からの情報収集:
- 近隣の同業者や同じ団体に属する施設に接触し、使用している登録支援機関の評判や実際のサポート内容について尋ねます。これにより、その機関の実際の運営状況や問題点を理解できます。
具体的なサービスの評価:
- 実際にどのようなサポートが提供されているか、具体的な例(定期面談の頻度、日本語教育の提供、緊急時の対応など)を聞き、それが自施設のニーズに合っているか評価します。
成功事例の共有:
- 他の施設での成功事例を共有してもらい、どのようなポイントが受入れ成功に貢献したかを理解します。また、問題が発生した際の対応方法についても情報を集めることが重要です。
このような地道な情報収集と評価を行うことで、より信頼性の高い登録支援機関を選択することが可能となり、特定技能外国人の効果的な受け入れと支援を実現できるでしょう。
③担当者を明確にしている機関
小さい組織であれば担当者の顔が見える支援業務となるので問題ないでしょうが、そこそこ大きな組織(技能実習の管理団体などが並行しておこなっているなど)では、誰が担当者なのかわからないという事態も発生しているようです。また、「担当者が頻繁に変わる」という事態も、せっかく信頼関係を築いた特定技能外国人にとっては、悪影響な支援となります。
まとめ
この記事では、登録支援機関の問題点、業務不履行時の罰則、および適切な登録支援機関の選び方について詳しく解説してみました。
外国から来日してくれた特定技能外国人に対して適切な支援を行うことは、彼らが日本で長く働き続けるためには不可欠です。このような支援を通じて、彼らの日本社会での安定と成長を支えることが私たちの目標ではないでしょうか。
このブログでは、特定技能を専門とする行政書士が、特定技能外国人の受け入れを検討している企業様向けに有益な情報を提供しています。引き続き、他の記事もご覧になり、特定技能制度の理解を深めていただければと思います。どうぞ、今後ともこのブログをご活用ください。