外国人の在留手続き手数料を、欧米諸国と同程度まで大幅に引き上げる方針が示されました。現時点では検討段階ですが、実現すれば在留資格の変更や更新にかかる手数料は、現在の6,000円から3〜4万円程度へ引き上げられる可能性があります。本記事では、このニュースを特定技能1号のケースに置き換え、5年間の在留期間でどれほどの負担増になるのか、企業・外国人双方にどのような影響があるのかを、実務目線でわかりやすく解説します。
在留手続き手数料はどう変わる予定か
政府は、来年度以降、在留資格の
・変更
・在留期間の更新(1年以上)
について、1件あたり3〜4万円程度まで引き上げる案を検討しています。
現在は、
・在留資格変更:6,000円
・在留期間更新:6,000円
となっており、仮に3万円になれば、約5倍の負担増です。
この上限を引き上げるためには、出入国管理・難民認定法の改正が必要とされています。
特定技能1号に当てはめるとどうなる?
特定技能1号の基本的な仕組みは次のとおりです。
在留期間の上限:5年間
在留期間:通常1年
更新回数:初回許可後、原則4回
ここで、更新手数料が1回3万円になった場合を想定します。
更新手数料の比較(特定技能1号・5年間)
現行制度
6,000円 × 4回 = 24,000円
改正後(仮)
30,000円 × 4回 = 120,000円
👉 差額は96,000円
これまで窓口申請で6,000円だった更新が、5年間で約10万円の追加負担になる計算です。
この費用は誰が負担するのか
実務上、想定されるのは次の3パターンです。
・外国人本人が負担する
・受入企業が負担する
・企業と本人で分担する
特定技能では、外国人に不当に費用負担をさせていないかも審査のポイントになります。
これまで企業が負担していた更新費用について、今後は契約内容や説明方法の見直しが必要になる可能性があります。
なぜ手数料が引き上げられるのか
政府は、手数料引き上げの理由として次の点を挙げています。
- 在留外国人の急増(約396万人で過去最多)
- 入国・在留審査の迅速化
- 日本語教育など受入環境の整備
- 不法滞在者対策の強化
これらの施策は 出入国在留管理庁 が中心となって進めるとされています。
特定技能を受け入れる企業が今から考えるべきこと
現時点では確定情報ではありませんが、次の点は事前に整理しておくべきです。
- 更新費用が上がる前提での受入コストの再計算
- 外国人本人への事前説明と合意形成
- 登録支援機関費用との整理
- 5年間トータルコストの見える化
特定技能は、短期的な人手不足対策ではなく、中長期的な人材確保制度としての運用が求められています。
まとめ
・在留資格更新手数料が3〜4万円に引き上げられる可能性がある
・特定技能1号(5年間)では最大約12万円の手数料負担
・現行制度との差額は約96,000円
・企業・外国人双方で、早めの準備と説明が重要
今後の法改正動向によっては、特定技能のコスト構造が大きく変わる可能性があります。
最新情報を注視しつつ、実務対応を進めていきましょう。

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