自動車運送業では、ドライバー不足への対応として外国人材の活用が注目されています。特に特定技能1号による外国人ドライバーの受入れは、今後の人材確保の選択肢として検討する運送事業者も増えています。
外国人材を採用する方法にはいくつかのルートがあり、それぞれ手続きや特徴が異なります。採用経路を正しく理解しておくことで、企業にとって適した人材を見つけやすくなります。
この記事では、特定技能外国人ドライバーの主な採用経路について、特徴や注意点を整理して解説します。
目次
外国人ドライバーの主な採用経路
外国人材の採用方法は、大きく次の3つに分けることができます。
- 日本国内に在留している外国人を採用する
- 特定技能1号で働いている外国人の転職者を採用する
- 海外から新たに人材を呼び寄せる
それぞれ採用までの流れや準備すべき内容が異なるため、企業の状況に応じて適した方法を選ぶことが重要です。
日本国内に在留している外国人を採用する
外国人材の採用というと海外から呼び寄せるイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、日本国内にはさまざまな在留資格を持つ外国人が生活しており、その中から採用する方法も有力な選択肢となります。
特に以下の在留資格を持つ外国人は、日本での生活経験があり、日本語や生活習慣への理解が進んでいる場合が多い傾向があります。
留学生
在留資格「留学」を持つ外国人は、日本語学校や専門学校、大学などで学びながら日本で生活しています。多くの場合、日本語能力を高めながらアルバイトなどを経験しているため、日本の職場環境に一定程度慣れていることがあります。
また、卒業後の進路として特定技能1号へ在留資格を変更し、ドライバーとして就労することを希望するケースも見られます。
留学生の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 日本語能力が一定水準に達している場合が多い
- アルバイト経験を通じて日本の労働ルールを理解している
- 日本の運転免許を取得している人材も一定数存在する
技能実習修了者
技能実習制度は、外国人が日本で技能を習得することを目的とした制度で、多くの外国人が日本企業で一定期間働いています。
自動車運送業分野はこれまで技能実習制度の対象ではなかったため、建設業や製造業など他分野で技能実習を修了した外国人が、特定技能制度を活用してドライバーとして働くケースが想定されます。
技能実習修了者は日本での生活経験があるため、職場でのルールや社会習慣を理解している場合が多い一方、日本語能力には個人差があります。
また、日本の運転免許を保有しているケースは比較的少ないため、採用後に免許取得を支援する必要が生じる場合もあります。
家族滞在の外国人
在留資格「家族滞在」は、就労系在留資格を持つ外国人の配偶者や子どもが日本で生活するための資格です。
原則としてフルタイムでの就労はできませんが、特定技能1号へ在留資格を変更することで、ドライバーとして働くことが可能になります。
家族滞在の外国人の特徴としては、日本に家族がいるため生活基盤が安定しているケースが多いことが挙げられます。また、日本語能力や生活習慣への理解が進んでいる人材も少なくありません。
なお、このほかにも「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの身分系在留資格を持つ外国人や、「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格から転職を希望するケースもあります。
このような場合には、現在の在留資格から特定技能へ変更してまでドライバーとして働きたい理由を理解したうえで、採用を判断することが重要です。
特定技能外国人ドライバーの転職者を採用する
すでに日本で特定技能1号として働いている外国人が、転職を希望するケースもあります。転職の理由としては、給与水準、労働条件、勤務地の変更などさまざまです。
特定技能外国人の転職には、大きく次の2つのパターンがあります。
他分野からの転職
特定技能制度では、一定の条件を満たすことで分野をまたいだ転職が可能です。そのため、建設業や飲食料品製造業など他分野で働いている外国人が、自動車運送業分野への転職を希望するケースも考えられます。
外国人材の中には、より良い待遇や働き方を求めて分野を変えて働くことを検討する人も少なくありません。そのため、採用活動を行う際には他分野からの応募者が現れる可能性も想定しておく必要があります。
在留期間の残りに注意
特定技能1号には、通算5年という在留期間の上限があります。この期間は分野ごとに設定されているものではなく、特定技能1号として日本に在留した期間の合計で計算されます。
例えば、飲食分野で3年間働いていた外国人を採用した場合、残りの在留可能期間は2年となります。
そのため採用時には、特定技能1号を取得した時期を確認し、残された在留期間を踏まえた雇用計画を立てることが重要です。
海外から外国人ドライバーを採用する
外国人材の採用で最もイメージされやすいのが、海外から直接人材を呼び寄せる方法です。自動車運送業分野では、特定技能評価試験が実施されている国・地域を中心に採用が行われます。
海外人材は、日本滞在経験の有無によって特徴が異なります。
日本滞在経験がない人材
日本に来た経験がない外国人は、現地の送り出し機関などで日本語や日本で働くための基礎知識を学んでいる場合が多くあります。
ただし、日本社会での生活経験がないため、日本の生活ルールや交通マナーを十分に理解していないこともあります。そのため、採用後は業務教育だけでなく生活面のサポートも重要になります。
面接では、次のような点を確認するとよいでしょう。
- 業務指示を理解できる日本語能力があるか
- 交通ルールや事故防止に対する安全意識を持っているか
- 日本の運送業の業務内容や責任を理解しているか
日本滞在経験がある人材
過去に日本で働いた経験がある外国人として代表的なのが、技能実習生として日本に滞在していた人材です。
例えば建設分野で技能実習を行い帰国した後、再び日本で働くことを希望して特定技能として応募するケースなどが考えられます。
このような人材は、日本の生活や職場文化をある程度理解しているため、来日後の生活への適応が比較的早い傾向があります。
外国人ドライバー採用は複数の経路を理解することが重要
特定技能外国人ドライバーの採用には、日本国内の人材、転職者、海外人材など複数のルートがあります。それぞれの採用経路によって人材の特徴や準備すべき事項が異なります。
運送事業者が外国人材を受け入れる際には、それぞれの採用ルートの特徴を理解したうえで、自社に適した人材を選定していくことが重要です。
外国人ドライバーの採用は、単なる人手不足対策だけでなく、企業の将来の人材戦略にも関わる取り組みとなります。そのため、制度や採用経路を正しく理解したうえで、計画的に進めていくことが求められます。

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