支援委託料は外国人に負担させてよいのか?:特定技能トラック運送業│運送業で外国人雇用(自動車運送業分野)

支援委託料は外国人に負担させてよいのか?:特定技能トラック運送業│運送業で外国人雇用(自動車運送業分野)

自動車運送業分野で外国人材の受入れを進める事業者から、非常に多く寄せられるのが「登録支援機関に支払っている支援委託料を、外国人本人に一部でも負担させてよいのか」という相談です。結論から言うと、育成就労制度・特定技能制度のいずれにおいても、外国人本人に支援委託料や支援費用を負担させることはできません。これは慣行や業界ルールの問題ではなく、法令および省令、さらに運用要領により明確に整理されている取扱いです。本記事では、なぜ外国人本人に支援費用を負担させてはいけないのか、その根拠と実務上の注意点を解説します。

特定技能制度における支援費用の基本的な考え方

特定技能制度では、出入国管理及び難民認定法第2条の5第1項により、特定技能雇用契約は「適正に締結し、かつ適正に履行されなければならない」と定められています。この規定を受けて制定された法務省令である「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」では、次の点が明確に規定されています。
・受入れ機関または登録支援機関は、1号特定技能外国人に対する支援計画を作成すること
・作成した支援計画を形式的ではなく、実態として適切に実施すること
・支援は受入れ側の義務であり、外国人本人の責任ではないこと

この時点で、支援は「サービス」ではなく「制度上の義務」であることが分かります。

支援委託料を外国人本人に負担させることはできない

さらに、この省令の具体的な運用を定めた「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」では、支援費用の取扱いについて、より踏み込んだ整理がなされています。運用要領では、義務的支援に要する費用について、次のように明確に示されています。
・支援費用は直接的・間接的を問わず外国人本人に負担させてはならない
・名目を問わず、結果として外国人が費用を負担する形になることは認められない
・本人の同意があったとしても、例外は認められない

そのため、実務上よく見られる次のような対応はいずれも違反となります。
・支援委託料を賃金から天引きする
・「管理費」「サポート費」などの名目で別途請求する
・雇用契約書や同意書に本人負担の条項を入れる
・実質的に賃金を下げ、その差額を支援費用に充てる

「本人が納得しているから問題ない」という考え方は、制度上は通用しません。

育成就労制度においても同様の取扱い

この考え方は、育成就労制度においても同様です。育成就労制度では、外国人が段階的に技能を習得し、安定的に就労できる環境を整えることが制度の目的とされています。そのため、次のような考え方が前提となっています。
・就労や生活に関する支援は、受入れ側が主体となって実施するもの
・支援は育成の一環であり、外国人本人の自己負担とするものではない
・支援費用を本人に転嫁することは、制度趣旨に反する

特定技能と同様、育成就労においても、支援費用を外国人本人から徴収することはできません。

支援費用は「雇用コスト」として整理する必要がある

育成就労・特定技能のいずれにおいても、支援委託料や支援実施にかかる費用は、受入れ企業が負担すべき雇用コストとして整理する必要があります。具体的には、次のような位置づけになります。
・外国人雇用に伴って必然的に発生するコスト
・日本人労働者の教育費・研修費と同様の性質
・外国人本人に転嫁することはできない固定的コスト

支援費用を含めた人件費設計を行うことが、制度を前提とした適正な雇用管理と言えます。

誤った運用を行った場合のリスク

支援費用の取扱いを誤った場合、次のようなリスクが生じる可能性があります。
・出入国在留管理庁からの指導・是正
・支援計画の不適切実施として指摘される可能性
・更新申請や在留資格審査への悪影響
・登録支援機関の場合は登録取消や業務改善命令のリスク

自動車運送業分野では、今後も外国人材の受入れ拡大が見込まれています。だからこそ、「コストを誰に負担させるか」という視点ではなく、「制度上、誰が責任を負うべきか」という視点で支援費用を整理し、適正な運用を行うことが重要です。

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