自動車運送業分野で外国人ドライバーを雇用する事業者からは、制度面だけでなく「現場でどう対応すればよいのか」という実務的な相談が多く寄せられます。
今回はその中でも特に多い、「運行指示書などの書類は翻訳すべきか」という相談について解説します。
目次
運行指示書等の書類は翻訳すべきですか?
外国人ドライバーに交付する書類については、運行指示書に限らず、配達伝票、日報、検品リスト、車両点検表など、さまざまなものがあります。
重要なのは、「翻訳が義務かどうか」ではなく、外国人ドライバーが内容を正確に理解できているかという点です。
法令上、すべての書類に翻訳義務があるわけではない
現行の法令では、運行指示書や日報など、すべての業務書類に翻訳を付けることが一律に義務付けられているわけではありません。
しかし、理解が不十分なまま業務を行わせると、誤配送、記載漏れ、確認不足、さらには事故につながるおそれがあります。
特に、安全管理や業務管理に直結する書類については、外国人ドライバーが内容を確実に理解できる形で提供することが不可欠です。
日本語が話せても「読める」とは限らない点に注意
外国人ドライバーの中には、長年日本に在留している方もいますが、
・漢字が苦手
・カタカナが読めない
・ひらがなであれば理解できる
といったケースは少なくありません。
育成就労外国人はもちろん、特定技能1号の外国人についても、日本語能力試験N4程度の日本語力が中心というのが実情です。
そのため、日本人向けに作成された書類をそのまま渡すだけでは、十分な理解が得られないことがあります。
実務上有効な書類対応の工夫
現場では、次のような工夫が有効です。
- 漢字にふりがなを付ける
- 全文をひらがなで作成する
- 日本語とは別に翻訳した用紙を配布する
- 日本語と母国語を併記したバイリンガル形式にする
特に、日本語+母国語を併記したバイリンガル形式は、内容確認がしやすく、記載ミスや確認漏れの防止につながります。
書類の重要度を整理し、理解できる体制づくりを
会社としては、すべてを一律に翻訳するのではなく、
・安全に関わる書類
・業務管理上重要な書類
・記録・報告が必要な書類
といった形で書類の重要度を整理することが重要です。
そのうえで、外国人ドライバーが内容を正しく理解し、適切に記録・報告できる体制を整えることが、
安全運行の確保と業務の円滑化につながります。
外国人雇用においては、「制度を守る」だけでなく、「現場で事故やトラブルを起こさせない仕組みづくり」が不可欠です。
書類対応は、その中でも特に見落とされがちなポイントの一つと言えるでしょう。

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