外国人ドライバーを雇用するトラック運送事業者からは、採用後の配置について多くの相談が寄せられます。
中でも多いのが、「外国人ドライバーには、どのコース・どの便を担当させるべきか分からない」という悩みです。
トラック運送業では、コース選定を誤ると、事故・クレーム・荷主トラブルだけでなく、外国人ドライバー本人の早期離職にもつながりかねません。
本記事では、トラック運送業に絞って、外国人ドライバーに向いているコース・便の考え方を、現場実務の視点から詳しく解説します。
目次
外国人ドライバー配置の大原則は「固定化」と「予測可能性」
トラック運送業における外国人ドライバー配置の基本は、業務内容をできるだけ固定化し、予測可能な運行にすることです。
就労開始直後の外国人ドライバーは、
- 日本の道路環境(狭い道路、右左折、合流)
- 日本独自の交通ルールや標識
- 荷主や倉庫での暗黙のルール
- 無線・電話・対面での指示の受け方
など、多くの要素を同時に理解しなければなりません。
この状態で、日々運行内容が変わる便や、現場判断を多く求められる業務を担当させるのは、非常にリスクが高いと言えます。
配置判断で重視すべき3つの視点(トラック運送業)
外国人ドライバーに任せるコース・便を選定する際は、次の3点を必ず確認します。
運行内容が毎日同じかどうか
固定ルートかどうかは、最重要ポイントです。
- 出発地・到着地が同じ
- 走行ルートがほぼ固定されている
- 立ち寄り先が少ない
このような便であれば、道順や危険箇所を繰り返し学習でき、日本の交通環境への適応も早くなります。
荷主・荷役作業先が限定されているか
外国人ドライバーにとって負担が大きいのが、荷役作業場所ごとに異なるルールや指示です。
- 荷主が固定されている
- 倉庫や工場が限られている
- 荷役手順がマニュアル化されている
こうした便であれば、現場でのコミュニケーション量を抑えられ、トラブル防止につながります。
突発的な判断が少ないか
- 納品先変更
- 急な時間調整
- 荷主からのイレギュラー対応
このような判断を現場で求められる便は、就労初期の外国人ドライバーには不向きです。
判断が必要な場面が少ない便を選ぶことが、安全運行の前提となります。
外国人ドライバーに向いているトラックの具体的なコース・便
トラック運送業において、外国人ドライバーに特に向いているのは、次のような便です。
- 毎日同じ時間帯で運行する固定ルート便
- 工場間輸送や倉庫間輸送
- 定期配送(ルート配送)
- 積み降ろし方法が定型化されている便
- 時間指定が厳しすぎない便
これらの便は、業務の流れが読みやすく、「次に何をすればよいか」が明確です。
外国人ドライバーにとって心理的負担が少なく、定着率の向上にもつながります。
避けた方がよいコース・便の代表例
一方で、就労開始直後の外国人ドライバーには、次のような便は慎重に判断すべきです。
- 日替わりで納品先が変わるスポット便
- 多数の立ち寄り先がある多頻度配送
- 荷主対応の裁量が大きい便
- 細かな時間指定が重なる業務
- クレーム対応を現場判断で行う必要がある便
これらの便は、運転技術以上に「判断力」と「日本語による即時対応」が求められます。
経験を積んでから段階的に任せることが望ましいでしょう。
深夜帯・長時間運行は特に慎重に判断する
トラック運送業では、深夜帯や長時間運行も珍しくありません。
しかし外国人ドライバーの場合、就労初期にこれらの業務を担当させることは慎重に考える必要があります。
- 管理者にすぐ相談できない
- トラブル時の判断が孤立しやすい
- 疲労による判断ミスが起こりやすい
特に深夜帯は、事故が重大化しやすいため、十分な習熟度が確認できるまでは避ける配置が現実的です。
習熟度に応じた「段階的配置」が成功のカギ
外国人ドライバーの配置は、最初から戦力化を目指すものではありません。
重要なのは、段階的に業務範囲を広げていく設計です。
- 入社初期:固定ルート・限定荷主
- 慣れてきた段階:ルートの追加、立ち寄り先の増加
- 習熟後:イレギュラー対応を含む便
このように段階を踏むことで、
- 事故やクレームの防止
- 外国人ドライバーの不安軽減
- 長期定着
- 現場管理の安定
といった効果が期待できます。
トラック運送業における外国人ドライバーの活用は、「どの便に配置するか」で成否が大きく分かれます。
人手不足対策として雇用するのであれば、配置設計まで含めて取り組むことが、現場を守る最も確実な方法と言えるでしょう。

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