同乗研修の指導員は、新人外国人ドライバーにとって最も身近な指導者です。
日々の運行を共にしながら指導を行うため、その言動や姿勢は、外国人ドライバーの運転習慣や仕事への向き合い方に大きな影響を与えます。
そのため、指導員は「運転が上手い人」ではなく、「安全と定着を支えられる人」という視点で選ぶ必要があります。
目次
同じ国籍の先輩外国人ドライバーがいる場合
すでに単独運行が可能な同じ国籍の外国人ドライバーが在籍している場合、その人材は同乗研修の指導員として非常に適しています。
母国語による補足説明ができること、日本の交通ルールや職場慣行を外国人目線で伝えられること、日本で働くうえでの苦労や工夫を実体験として共有できることは、大きな強みです。
就労初期は、日本語理解の不足から誤解が生じやすい時期です。同国籍の先輩が指導に入ることで、新人外国人ドライバーの心理的負担が軽減され、結果として定着率の向上にもつながります。
日本人ドライバーが指導員を務める場合の考え方
現実には、同国籍の先輩外国人ドライバーがいないケースも多く、その場合は日本人ドライバーが指導員を務めることになります。
このとき注意すべきなのは、「ベテランドライバー=良い指導員」とは限らないという点です。
運転技術や経験年数とは別に、外国人指導に向いた資質が求められます。
同乗研修の指導員に求められる資質
異文化を前提として考えられること
外国人ドライバーは、文化や価値観、仕事に対する考え方が日本人とは異なる場合があります。
その違いを否定せず、「前提条件の違い」として受け止められる姿勢が不可欠です。
外国から来て働く立場への理解と配慮があること
外国人ドライバーは、日本語への不安、事故への恐怖、在留資格や将来に対する心配など、複数の不安を抱えています。
指導員には、こうした背景を理解し、必要以上に萎縮させない配慮が求められます。
業務内容を感覚ではなく言葉で説明できること
日本人同士であれば暗黙に伝わる業務手順も、外国人には通じません。
出庫前点検、配送時の注意点、事故防止の判断基準などを、一つひとつ言語化して説明できる能力が重要です。
日本の交通ルールや運転マナーを具体的に指導できること
日本では、法令だけでなく、慣習としての交通マナーも重視されます。
単なる注意ではなく、「なぜその運転が危険なのか」「なぜ日本では問題になるのか」を説明できる指導姿勢が求められます。
職場内ルールや日本社会の基本マナーも伝えられること
同乗研修では、運転技術以外にも、あいさつ、報告・連絡・相談、時間厳守といった基本的な職場マナーも指導対象になります。
感情的に指摘するのではなく、背景や理由を含めて伝えられる寛容さが重要です。
同乗研修では「人間関係」と「相性」も重要
私自身、トラック運送業で働いていた当時、教える側としても、教えられる側としても、数多くの同乗研修(横乗り)を経験してきました。同乗研修は、長時間にわたり同じ車内で行動を共にするため、運転技術や業務手順以上に、人間関係の構築が重要になります。指導内容が同じであっても、相手との相性やフィーリングによって、理解の深まり方や安心感には大きな差が生じることを実感しました。だからこそ、同乗研修の指導員には、技術や経験だけでなく、「一緒に過ごしやすい人柄」であるかどうかも重要な要素になるといえます。
同乗研修は「安全教育」と「定着支援」を兼ねた重要期間
同乗研修は、事故防止を目的とした安全教育であると同時に、外国人ドライバーの定着を支援する重要な期間でもあります。
その成果は、指導員の選び方と指導姿勢によって大きく左右されます。
運転技術の高さだけで指導員を選ぶのではなく、人柄、指導力、コミュニケーション力を重視することが不可欠です。
外国人ドライバー雇用を成功させるために
外国人ドライバーの早期離職やトラブルの多くは、就労初期の関わり方に原因があります。
適切な同乗研修と指導員の選定は、事故防止だけでなく、長期的な人材確保にも直結します。
同乗研修を形式的な研修と捉えるのではなく、人材定着のための重要な経営施策として位置づけることが、外国人雇用成功の鍵となります。
なお、この記事に合わせて「同乗研修時のポイント」についても記事を投稿していますので、是非参考にしてみてください。

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