採用│どの国籍の人材が日本の運送業に向いていますか?

採用│どの国籍の人材が日本の運送業に向いていますか?

自動車運送業分野で特定技能1号外国人の雇用を検討する際、「どの国籍の人材が日本の運送業に向いているのか」は、多くの事業者が最初に気にするポイントです。
もっとも、特定技能制度においては、国籍そのものよりも制度上の前提条件や、実務との相性を冷静に整理することが重要になります。
ここでは、海外から外国人ドライバーを呼び寄せる場合を前提に、国籍に関する考え方を実務目線で整理します。

試験実施国という前提条件

海外から外国人ドライバーを呼び寄せる場合、まず確認すべきなのは、その国で自動車運送業分野の特定技能試験が実施されているかどうかです。
特定技能1号は、技能試験および日本語試験への合格が前提となっており、試験が実施されていない国から直接人材を受け入れることはできません。
そのため、採用活動を始める前段階で、試験実施国かどうかを確認することは必須となります。

【試験実施国】
インド
 インドネシア
 ウズベキスタン
 カンボジア
 キルギス
 スリランカ
 タイ
 ネパール
 パキスタン
 バングラデシュ
 フィリピン
 マレーシア
 ミャンマー
 モンゴル
 ラオス
 日本

左側通行という運転環境の違い

試験実施国の中には、日本と同じ左側通行を採用している国があります。
左側通行の国で日常的に運転してきた人材は、日本の道路環境に対する違和感が比較的少ない傾向があります。具体的には、インド、インドネシア、カンボジア、スリランカ、タイ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、マレーシアなどが挙げられます。

右側通行の国から来た人材と比べると、車線感覚や交差点での判断に慣れるまでの時間が短いケースもあり、受入れ初期の教育負担という観点では一つの参考要素になります。

日本車の運転経験がある人材の特徴

日本の中古車が多く流通している国では、日本車に乗務した経験を持つ人材も一定数存在します。
そのような人材の場合、ハンドル位置や操作系統、車両サイズ感に対する違和感が生じにくく、車両操作の面では比較的スムーズに業務へ移行できる可能性があります。

もっとも、日本車の運転経験があること自体が安全運行を保証するものではなく、あくまで初期適応のしやすさという点で評価できる要素にとどまります。

国籍だけでは判断できない現実

注意すべき点として、日本人ドライバーと同様に、外国人材についても仕事への姿勢や安全意識には大きな個人差があります。
そのため、「この国籍だから安心」「この国籍だから不安」といった形で、人材の良し悪しを国籍だけで一律に判断することはできません。

実際の現場では、同じ国籍であっても、安全意識が高い人材もいれば、指示理解や規則遵守に課題を抱える人材も存在します。
国籍はあくまで一つの属性情報に過ぎないという認識が重要です。

個人の資質と教育体制が最重要

特定技能1号外国人ドライバーを受け入れる際に最も重要なのは、個人の資質育成環境です。
特に海外から人材を呼び寄せる場合には、現地の送出し機関等が、日本の運送業を前提とした運転教育や安全教育を十分に行っているかを確認する必要があります。

また、採用時点のスキルだけで判断するのではなく、受入れ後にどのような教育・指導体制を構築できるかという点も、安全運行を考えるうえで欠かせない視点です。

まとめ

特定技能1号ドライバーの採用において、左側通行の国籍や日本車の運転経験は、一定の参考材料にはなります。
しかし、国籍そのものが人材の適性を決めるわけではありません。
最終的には、個人の資質を見極めたうえで、適切な教育と管理体制を整えることが、日本の自動車運送業における外国人材の安定した活用につながります。

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